博鰲(BOAO)アジアフォーラムのテーマについて、中国(海南)改革発展研究院の遅福林・執行院長に聞いた。
「アジアの相互利益の模索」が博鰲フォーラムの長期的なテーマであり、年次総会ごとに重点事項を考慮して副題をつける。遅福林・執行院長はこう語った。
中国(海南)改革発展研究院は、博鰲アジアフォーラムの議題設定を担当する機関で、これまで3度議題を設定。今年の主要議題と各分科会の議題もすでにフォーラム理事会から承認されている。
2004年総会のテーマは「アジアの相互利益の模索――世界に開放されたアジア」。グローバルな背景の下、博鰲アジアフォーラムがアジア各国・地域内の経済協力問題を協議し、アジアがともに歩む実効性のある方法を模索する姿勢を示すものだ。
分科会のテーマは「アジアの21世紀――世界の目に映るアジア経済の一体化」や「アジアの通貨金融協力――アジア経済一体化の起点と突破口」「アジア域内の一般特別優遇制」「アジアの生産とアジアの相互利益――供給チェーン、産業チェーンと域内外の製造業の分業協力」「アジアのエネルギー安全とエネルギー協力」など。
遅院長は「実際、アジア各国は、域内経済協力の一体化がすでに今日の世界経済発展の主要な流れであることを認識している。欧州や北米も経済協力共同体をもち、その地区の経済をグレードアップさせるうえで重要な役割を果たしている。だが、アジア諸国間の経済協力と一体化のプロセスはその経済の急成長とは釣り合いが取れていない。アジア各国政府は互いに協力を緊密にしたいと願ってはいるが、さまざまな原因から、非政府組織が前面に出て相互の意思疎通を図り、共通の認識をもち、協力して経済を発展させていく必要がある。博鰲アジアフォーラムの機構上の性格は非政府、非営利であり、定期的に決まった場所で開く開放された国際組織であり、政府が演じられない役柄を演じ、政府が担えない役割を担うことができる。こうした意味で、博鰲アジアフォーラムの創設はアジア各国の経済発展の必要性にかなっている」と強調した。
第2回年次総会では「アジア域内の金融の安全と金融協力」が議題となったが、今回注目を引く議題の1つが、やはり「アジアの通貨金融協力――アジア経済一体化の起点と突破口」だ。
これについて遅院長は「1997年に起きたアジア金融危機による手痛い教訓は、アジアに域内経済協力組織がなかったが故に、外部からの衝撃に対抗するため共同で一致した行動が取れなかったことだ」と指摘。
さらに遅院長は「現在、米ドルやユーロ、人民元がアジアの金融と経済で依然主導的な働きをしており、その通貨の変動はアジア域内経済に直接影響をもたらす。アジアは21世紀で経済発展が最速の地区であり、また外部からの投資が比較的集中している地区でもある。こうした状況の下では、域内の金融協力がきわめて重要となる」と強調した。
アジアの統一された通貨「アジア通貨」の創設について、遅院長は「その可能性はないことはない」との考えを示したうえで、「現在の状況から見れば、例えば共同の債券市場など、少なくともアジア域内の金融協力のためのメカニズムを構築することはあり得る」と語った。
「チャイナネット」2004年4月25日