国家統計局の邱暁華局長は2日、上海で開催された「中国米国留学経済学会年次総会・上海財経大学高等研究院設立大会」で、国民経済の運営をめぐる憂慮すべき問題について、次のように説明した。
マクロ面では、投資や貸付の伸びが過剰で、国際収支も不均衡だ。今年1~5月に投資は30.3%の高い伸びを見せたが、この背景には過剰な貸付がある。新規貸付は1兆7800億元で、すでに今年実績の71%に達している。貿易黒字は前年同期比168億ドル増の468億ドル、外貨準備高は9千億ドルに達し、国際収支の不均衡が激化している。
ミクロ面では、まず、工業分野において、製品出荷価格と原材料価格の伸びに開きが出る「はさみ状価格差」により、収益性が悪化していることが挙げられる。工業製品の出荷価格の上昇が2.6%にとどまる一方、原材料購入価格は5.9%も上昇し、企業の生産コストは1千億元以上も上昇した。1~5月期、国内企業の利益は25.5%増加したが、増加分の80%以上は石油・電力・石炭・非鉄金属の5大産業に集中しており、残りの20%足らずを他の30以上の産業が分け合っている状態だ。つまり、圧倒的多数の企業が薄利と赤字の瀬戸際に立たされている。さらに、農業分野でも同様の傾向がみられ、農産物価格と農業生産資材価格の伸びがアンバランスになっている。農業用ビニール、農薬、ディーゼル燃料、種子などの価格が2けた増を示した一方、農産物価格の伸びは1~2%にすぎない。これにより農民の支出は昨年、1人当たり100元余り増加したが、政府からの農業支援補助金・減免は42.4元に過ぎない。補助が支出増に追いついていないのだ。
しかし、こうした潜在的なリスクは、経済運営の大局には影響しないだろう。年間の状況から見ると、中国経済が今年も穏やかでやや速い成長の大勢を保つことはほぼ間違いない。マクロ調整の効果はなお持続しており、低いインフレ率により、マクロ経済の発展をめぐる環境はゆとりが出ている。景気循環から見ると、中国経済は依然として高成長の段階にあり、その勢いにより今後一定期間は比較的速い発展が続くだろう。世界経済も好転しており、穏やかな成長加速の傾向にある。さらに、国内各地の発展加速へのモチベーションが高く、行政による中国経済の成長促進効果も強く、投資と生産の高成長を支えている。
「人民網日本語版」2006年7月3日