西側世界の企業が中国市場への進出戦略に知恵を絞る中、米国では、中国人ベビーシッターを雇う親たちが増えている。より先を見越し、子女が中国ビジネスという「特急列車」に乗り遅れないよう、子どもに幼少の頃から中国語に触れさせる狙いという。ニューヨークやシカゴなどの大都市では、標準中国語を話せるベビーシッターの月給の相場が、通常より1600ドルほど高くなっている。
マンハッタンのある家政サービス会社の幹部よると、学歴があり、英語と標準中国語を話せるベビーシッターは年収5万~10万ドルにも上る。エンジニアや会計士と遜色ないレベルだ。しかし、中国人は高給のベビーシッターとして働くより、薄給のサラリーマンの職を選ぶ傾向があるため、条件にあうベビーシッターを探すのは困難という。中国語、特に標準中国語のできるベビーシッター・家政婦のニーズの高まりを受け、報酬の相場も上がり、平均で2万ドル程度になった。米国では、中国語は最も難しい言語と考えられているため、子どもに幼少の頃から中国語を学ばせるために、費用を惜しまない親も少なくない。同幹部によれば、1人の中国人ベビーシッターを2つの家庭が取り合った結果、最終的に年間報酬が7万ドルにまでせり上がったこともあるという。
ロサンゼルスで会計士の仕事をする中国人の袁さんは、出産後間もない頃、ベビーシッターを雇おうと考えた。言葉や生活習慣の面を考え、中国人のベビーシッターを探そうと紹介所を訪れたところ、責任者から「1年後まで予約がぎっしりです」と言われたという。予定が空いているのは、標準中国語も英語も話せない、地方出身の中国人ベビーシッターのみ。やむなく、友人の家で働く家政婦を1カ月だけ「借りる」ことにしたが、報酬は1日120ドルの現金払い。「標準中国語を話すベビーシッターがこれほど人気だと知っていたら、修士課程など行かずにベビーシッターになっていたのに」と、袁さんは愚痴混じりの冗談を言う。
「人民網日本語版」2006年7月9日