2005年全国人口1%サンプル調査の結果で明らかになった人口発展の新たな特徴について、中国人民大学人口研究所所長のテキ振武教授(中国人口学会副会長)が解説した。
今後数十年、中国では人類史上最大規模の都市化の波が押し寄せるだろう。今回の調査でわが国の流動人口がすでに1億4700万人という数になっていることがわかった。中国の都市発展計画によると、将来的には12億の人口が都市部に集中することになる。中国の死亡率と出産率は今後も基本的に比較的平穏な水準で維持されて行くはずだ。しかし、人口はむしろ更に大規模にかつ広範囲にわたって移動と流動をしてゆくだろう。このことにより、将来、中国の人口と経済・社会の発展に対しての最大の試練は、死亡率と出産率ではなく、人口流動から来る可能性がある。いかにして人口流動がもたらす試練に対応するかはすでに当面の急務となっている。
高齢化が加速されていることについて、「出産政策を緩和することで出生数を増やし、人口の高齢化の趨勢を延伸または改善する」という意見がある。このような見解は十分検討しなければならない。まず、現在の中国の高齢化問題で、直接的な原因は高齢者の数が多すぎることであり、人口年齢構成のバランスが取れていないことだ。出生数を抑制することは、60年後の高齢人口の数を減らすことになり、高齢化問題の緩和にプラスとなる。出産政策を緩和するという考えは、問題を更に深刻にするだけだろう。中国の若年労働力はすでに過剰になっており、かつ今後数十年は続くとみられる。出生率を高め、若年層の比重を高めることは、失業人口の増加を招き、労働力の需要と供給のアンバランスを悪化させる恐れがある。これは高齢者の養老にプラスとならないだけでなく、却って高齢者から資源を奪うことになる。
人口の数の多さは依然として中国の人口問題の第一位の課題であり、現行の人口抑制と計画出産政策(一人っ子政策)は揺ぎないものであることを強調したい。
「人民網日本語版」2006年8月30日