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経済時評:新たな課題に立ち向かう三峡ダム

三峡ダムは今月20日、あらためて貯水を開始し、156メートルに引き上げられた最高貯水水位に向けて、ゆるやかに水位を上昇させ始めた。

三峡ダムは2003年に2期工事が完了し、貯水、水運、発電の三大目標を達成した後、135メートルの貯水水位で3年間にわたり安定的に稼働してきた。これまでに累計1200億キロワット時の電力を生みだし、移民の転居、生態環境保護、ダムの総合的管理などの準備が基本的に完了、貯水水位を156メートルまで引き上げるための基礎が整った。今後、水位が156メートルに達すると、ダムは初期稼働期に入り、洪水対策、水上運輸、発電などさまざまな役割を総合的に発揮するようになる。

水位が156メートルに到達した後、三峡ダムはより困難な課題に立ち向かうことになる。

(1)ダムは正常に稼働するか?

貯水水位が135メートルだった時には、囲いぜきが水をせき止めていたため、ダム本体が直接試されるということがなかった。今年6月に囲いぜきの爆破作業が成功して取り壊しが完了してから、ダムは初めて実際の貯水を開始し、これまでは各指標とも正常に稼働している。しかし水位引き上げ後、ダム本体、左岸の発電ユニット、主要建造物、水上運輸設備などが正常に稼働するかどうかが問題になる。

(2)移民の生活をどうするか?

ダム一帯は中国の貧困地域に属している。ダム建設で水没した20県はほとんどが国に指定された貧困県で、山あいの傾斜地にあり、人口密度が高い。土地もやせていて、産業基盤が脆弱だ。水位引き上げ後、一部の農村では移民が手をかけた肥沃な耕作地が水に沈むことになり、彼らの今後の安定した収入増加をどのように支援するかが課題になる。また現在、都市部での関連工事はほとんどが完工し、雇用機会は減少しており、移民の安定した雇用の実現が課題になっている。

(3)ダムの生態環境と水質の安全性に変化はあるか?

新たな貯水開始後、ダムは湛水面積が増加し、水流はよりゆるやかになり、ダムの生態環境と水質の安全性に変化があるかどうかが問題になる。ダムの総合的な効果が長期的かつ正常に発揮できるかどうかは、ダムの稼働状況と生態環境によって決まる部分が大きい。

このため、今後は工事の質を確保すると同時に、移民に安定した豊かさを保証すること、ダム周辺地域の経済社会の発展を推進すること、生態環境保護とダム管理を強化することなどが、早急に解決すべき課題になる。

新たな課題に対して、まず必要なことはすべての建設関係者が、国、国民、歴史に対して責任ある態度を取り、真剣に工事を進め、主要工事の安全な進行を確保することだ。同時に、移民の移転政策を充実させるため、移民の事後バックアップ政策を強化するべきだ。ダム地域に特色ある産業が生まれ・成長するよう支援し、雇用ルートを拡大することが必要だ。

また「三峡ダム管理条例」「三峡ダムの持続可能な総合利用プラン」などの関連プラン・法規を急ぎ制定するとともに、できるだけ早期に▽ダム資源の利用▽工事進行の安全性とのバランス▽上・下流のバランスの取れた発展――などを効果的にコントロールするダム運行システムをうち立て、「クリーンなダム」「生態環境に配慮したダム」「健全なダム」の実現に向けて、確かな保障を与えることが大切だ。

「人民網日本語版」2006年9月21日

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