中日両国の指導者による今回の会談のもう1つの成果として、中日双方が中日間の3つの政治文書の精神を堅持することを再確認し、中日関係の政治的基礎の重要性を守ったことが挙げられる。胡錦濤国家主席は安倍首相と会談した際、中日関係の長期的で安定した発展を実現するためには、まず政治的な相互信頼関係を強め、「中日共同声明」などの3つの政治文書の原則を守らなければならないと指摘した。安倍首相はこれに対し、日本は今後3つの政治文書の原則と精神を守りつつ、両国関係を発展させていくことを明らかにした。中日間の3つの政治文書は、正しい歴史観の樹立を強調している。「歴史を鑑(かがみ)とし、未来に向かう」という言葉は、中日関係を安定して発展させるための政治的前提だ。安倍首相は中国訪問中、日本は以前アジア各国の人々に大きな損害と苦痛を与え、数々の傷跡を残したと述べ、これに対し深い反省の意を表すとともに、この立場は変わることがないとした。また、日本は軍国主義を決して賛美せず、A級戦犯を美化することもないとした。このほか、中日共同声明に基づいて台湾問題を処理する立場は変わらず、「1つの中国」政策を堅持し、「2つの中国」や「1つの中国、1つの台湾」を認めず、「台湾独立」を支持しないとした。双方は歴史を正視し、未来に向かい、歴史問題・台湾問題など、政治問題に対して考えを一致させ、中日関係の好転を実現し、政治と経済という2つの車輪を力強くまわし、中日関係をさらに高いレベルへと推し進めることで合意した。(新華社記者)
今回の会談にはさらにもう1つ重要な成果がある。それは、中日両国が首脳間の交流と対話を強めていき、政治、経済、安全保障、社会、文化、国際事務などの各分野での友好的な協力関係を発展させることで同意したことだ。中日が発表した「共同コミュニケ」によると、双方は首脳間の交流と対話が両国関係の発展に重要な意味を持つとの考えで一致した。また、日本側は中国首脳を日本に招く意を表し、中国側はこれに対して感謝を表すとともに同意したほか、双方は両国の指導者が国際会議の場などで会談を続けていくことで合意した。長年の事実によっても明らかなように、中日関係において両国首脳の訪問と会談は非常に重要となっている。中日の首脳間の交流と対話に問題があれば、両国の交流にも悪影響があり、安定した持続的な発展を作り上げることは難しい。安倍首相の訪問中、両国は首脳の相互訪問と対話について意見が一致し、両国の各分野での交流を広め、協力を強めるための条件を整えた。
安倍首相の訪中実現は中日関係の改善のきっかけとなったが、歴史的、現実的な要素から見ても、中日関係の今後の発展は順風満帆ではなく、今後もさまざまな挫折が待ち受けているだろう。しかし、中日の友好的な協力関係の発展は両国とその国民の基本的な利益に一致し、現在の政治の多極化、経済のグローバル化という世界の流れにも符合する。また、これは多くの人々の願いでもある。両国が「中日共同声明」など、3つの政治文書の原則を守り、「歴史を鑑とし、未来に向かう」、「言った以上は必ず実行し、行う以上は断固としてやる」という精神のもと、両国指導者が安倍首相訪中の際に達した意見の一致を貫くことができれば、中日関係はさまざまな困難を克服し、さらに深く、広く発展していくだろう。
「人民網日本語版」2006年10月10日