10月8日、日本の安倍晋三新首相が招請に応じて中国を訪問し、5年の長きにわたり途絶えていた中日首脳会談が再開された。これは中日関係史において、歴史的意義を持つ重大な出来事である。中日両国は一衣帯水の隣国であるにも関わらず、長期間、両国首脳の相互訪問がなかった。これはきわめて不正常なことだ。安倍首相の訪中は、中日関係の改善に契機をもたらした。ハイレベルの交流、とりわけ首脳間の相互訪問と会談は、中日関係の温度を上昇に転じさせるだろう。(復旦大学日本研究センター主任、樊勇明教授)
近年来、両国の経済交流には発展はあるものの、米国や欧州が対中貿易・対中投資を急速に拡大・深化させているのに対し、日本の対中経済交流は明らかに「失速」している。無論これには、日本国内の経済産業構造の調整という要素があるが、政治的な妨げもある。小泉氏が歴史問題においてすることなすことが、両国の経済交流に暗い影を投げかけた。現在の中日関係において、政治と経済はすでに緊密で切り離せなくなっており、「政経分離」は不可能だ。安倍訪中のニュースが伝わるや、日本経団連の御手洗会長は訪問先の英国で直ちにこれを歓迎する談話を発表し、「政治環境をいったん立て直せば、民間の経済活動は必ず上昇する」と述べた。この問題は、安倍首相もよく分かっているようだ。安倍首相はその所信表明演説で、「イノベーションとグローバル化を結合し、日本経済の真の成長を実現する」と指摘した。重要な「新興市場」の1つとして、中国が日本経済にとって明白な重要性を持つことは、すでに事実が証明している。まさにこのために、安倍首相は北京訪問を前に「日本経済と中日関係は緊密で切り離すことができず、政治と経済は中日関係の両輪である」と再び強調したのだ。
共通利益の模索と拡大は、中日友好の発展のカギである。安倍首相の訪中は「氷を割る旅」であり、氷を割った後もなお力の限りを尽くす必要がある。戦略的に見ると、中日関係を真に発展させるには、やはり両国間の共通利益を積極的に模索、拡大して、中日関係の健全な発展に内的な原動力を添加しなければならない。中日間の経済交流は最大の共通利益であるし、朝鮮半島の非核化、アジア太平洋の経済協力、東アジア自由貿易圏の構築、世界的なエネルギーの安定供給と環境保護などは、いずれも中日間の協力を必要としている。共通の利益は共通の関心を形成し、共通の関心は共通の発展をもたらす。会談で双方が再三強調した「困難の克服、共通利益の拡大」の意義はここにある。
首相就任後の初の訪問地に北京を選んだことは、中日関係の改善に向けた安倍首相の決意と勇気を十分に物語るものだ。この意義から言って、安倍首相の訪中は確かに日本のアジア外交の膠着を打開する「氷を割る旅」ではあるが、中日関係を真に立て直すためにはなお時間が必要であり、また、安倍首相が具体的な行動を起こして、問題をひとつひとつ解決していくことが求められているのだ。
「人民網日本語版」2006年10月10日