米国の人口が17日に3億人の大台を突破した。世界第3位の人口大国である米国の人口増加モデルは、中国やインドとは異なり、外国からの移民が重要な要素となっている。過去6年間に米国の人口は2千万人増加した。このうち60%が国内の自然増加で、40%が移民によるものだ。出生率では、少数民族(マイノリティー)が中南米系(ヒスパニック)以外の白人を大きく上回っている。
米国の統計では、人口に占めるマイノリティの割合は現在の3分の1から、10年後には40%に上昇すると予測されている。これは驚くべき人口構成の変化のスピードだ。
米国は歴史的に移民国家であり、ある意味で、先住民(ネイティブ・アメリカン)以外はすべて移民であるといえる。だが建国後に、いわゆる「ワスプ(WASP、アングロサクソン系白人新教徒)」主流の文化が形成され、これが米国文化の基調となった。近年、米国の多くの地域でマイノリティーが人口の多数を占めるようになり、「ワスプ文化」が揺らぎ始めている。
美国はかつて「人種のるつぼ」を誇っていたが、これは欧州系移民が主流だった時代の話で、その後、移民の出身地は次第に多様化し、多くのマイノリティーが固まって居住し、独自の文化コミュニティーを形成するようになった。月日が経つにつれ、米国がバルカン半島のような民族分立・衝突の地となるのではと心配する人もいる。
移民型の人口増加モデルは、米国の人口・文化構成に変貌をもたらし、米国社会に相当の懸念と論争を引き起こしている。人口構成の変化と移民問題への対応において、米国社会はある種の、矛盾とジレンマの中にある。米国は移民国家であり、米国社会の活力は移民にある。移民の受け入れも、米国の伝統的な価値観だ。移民を制限すれば、米国の人口は老化し、多くの事を誰もしなくなる。文化的同化の問題も難しい。同化の強制は個人の自由の価値に反し、抵抗や反動を招くだろうし、そのまま放置すれば、民族分立現象が蔓延し、強化されてしまう。また、新移民は社会保障などの面で平等な待遇を得られないことも多く、これは米国社会の対立の起爆点になるかもしれない。
移民は米国の建国の柱であり、米国社会の活力だが、現在は米国社会の矛盾の焦点にもなっているのだ。
「人民網日本語版」2006年10月19日