中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は30日、広西チワン族自治区南寧市で、双方の対話関係樹立15周年の記念祝賀行事を行う。これに関連して、ASEANのオン・ケンヨン(王景栄)事務局長はASEANと中国との関係などについて、記者の質問に応えた。
――ASEAN・中国間の協力をどのように評価するか?
ASEANは中国との戦略的パートナー関係を通じて、その他の国とも同様の関係を発展させることが可能とわかった。現在ASEANは中国、日本、韓国(ASEANプラス3)との協力メカニズム発展だけでなく、インド、オーストラリア、ニュージーランドなどとも対話関係を樹立している。戦略的パートナー関係においては、中国、ASEANともに長期的な視点をもつことが必要だ。ASEANは現在、農業、観光業、エネルギーなどの分野で協力を進めている。ASEAN・中国双方のリーダーは絶えず対話を強化し、互いの政治的見方について交流を深めているほか、安全、貿易、反テロリズムなどについても交流を進めている。
――ASEANの一部加盟国は、中国が海外からの投資をさらい、ASEANと欧米市場を奪い合うのではないかと懸念していた。しかし一方で、1990年代初頭以来、ASEANの対中国貿易は一貫して黒字となっている。ASEAN加盟諸国の中国への見方は変わったか?
確かにASEANは初め、中国が海外投資をさらうことを懸念していたが、事実はそうでないことが後にわかった。中国が大量の海外資本を呼び寄せたことから、ASEANの投資主体との協力水準が向上した。現在、中国はASEANにとって「先頭ランナー」の役割を果たしているといえる。実際、ASEAN・中国が10年以内の自由貿易圏設立を決定した後、双方への海外投資が増加した。当然ながら、ASEAN内部や一部業界には、玩具、衣料品、繊維などの分野で中国に起因した競争が起こっていることや、中国製品の競争力が強いことなどを懸念する声もある。しかしこれもASEANの経済構造再編にとっては一つのチャンスだ。中国が低価格・高品質の雨傘や靴を大量に生産できるのなら、ASEANが同じような製品を作る必要はない。ASEANはその他の産業にシフトできる。ASEANにとって重要なことは、ASEANが中国に対して比較的優勢だと気が付いたことだ。ASEAN-中国自由貿易圏をめぐる交渉がスタートした数年後には、双方は相手への理解をより深めているだろう。
――ASEAN・中国関係の今後の展望は?
ASEANは双方の協力のさらなる進展に期待している。中国は発展が速く、ASEANは中国のASEANに対する興味が高まるものと信じている。なぜならASEANには豊富な天然資源があり、中国経済の発展で生み出された大量のニーズが、ASEANにおいて満たせるからである。ASEANは相互利益のモデルを追求し、中国からの投資をより多く呼び込みたい。ASEANは中国がより多く、より深く、ASEANの工業や貿易にコミットし、双方の経済関係がより多様化することを願う。ASEANは戦略的パートナー関係を利用して中国へ商品を輸出するだけではだめで、こうした関係を利用してよりよく中国を理解することが必要だ。中国の「東南アジア友好協力条約」(TAC)加盟は、中国・ASEAN間の関係にとって重要であり、中国が東南アジア地域の安全と安定に努力することを意味する。われわれには相違があるが、対立する必要はない。中国はASEANのさらなる繁栄を促進できるし、ASEANもまた中国の発展、中国と世界のその他の国との友好関係を促進できる。
「人民網日本語版」2006年10月30日