目下開催中の第10期全国人民代表大会第5回会議では、各種の企業所得税の一本化を目指す『企業所得税法』草案を採択することになっている。草案によると、向こう数年間に、中国は徐々に大部分の税収上の優遇措置を取り払い、一律25%の企業所得税を徴収することになっている。この法律草案は国際的に通用しているやり方を参照し、国内・外資企業の所得税を一本化し、優遇政策を統一し、納税前控除(損金算入)基準などの内容を統一し、「産業間の優遇措置を主とし、地域間の優遇措置を補助的な政策とする」新たな税収上の優遇システムの構築を目指している。
税制改革の条件が備わった
20世紀70年代末期の改革開放以来、中国は外資系企業に対して、国内企業と異なった税収政策を実施してきた。20世紀90年代に、中国は前後して外資系企業所得税制度及び国内企業所得税制度を調整し、外資系企業に1991年の第7期全国人民代表大会第4回会議で採択された『中華人民共和国外商投資企業及び外国企業所得税法』が適用され、国内企業には国務院が1993年に発布した『中華人民共和国企業所得税試行条例』が適用されてきた。
この政策の実施は外資導入及び経済発展へ促進などの面で、著しい成果をあげてきた。統計データによると、2006年末現在、中国で営業を許可された外資系企業の数は59.4万社で、実行ベースの外資投資額は6919億ドルに達し、2006年に、外資系企業による企業所得税納入額は7950億ドルとなり、同年の税収全体の21.12%を占めた。
当面、中国の経済社会には大きな変化が起こっており、現行の税制制度は執行の中でさまざまな問題が現れている。同時に、中国の経済は急速な発展を遂げ、企業のトータルな利益も大幅に増え、国の財政収入にも良いパフォーマンスが見られる。こうした背景の下で、中国における企業所得税の改革は、条件が備わった選択である。
「国内・外資企業の所得税率を一本化する」政策ははかり知れない意義がある
現在、国内企業と外資系企業の所得税率は一律33%だが、一部の特殊地域の外資系企業には24%または15%の優遇税率が、利益の少ない国内企業には27%または18%の優遇税率(2グレードの配慮税率)がそれぞれ適用されている。現行の徴税優遇政策は対象が多く、相互に交錯しており、政策の効力が十分に発揮できていない。しかもこれら優遇政策には大きな抜け穴があり、企業の誤った経済行為による国の税金の流出を招いている。
第10期全国人民代表大会第2回会議以来、合計541人の全人代代表は16件の議案を提出し、新たな企業所得税法を定め、国内企業所得税と外資系企業所得税を一本化することを要求している。
国内企業所得税と外資系企業所得税の一本化は、優遇政策の調整によって、外資投資の方向を積極的にリードし、さらにハイレベルな国民経済構造の調整、経済成長モデルの転換を促し、外資利用の質とレベルを高めることが可能となる。
6つの原則で税負担を公平にする
企業所得税の改革の過程には、次の6つの原則を守らなければならない。
1. 現在の国内企業と外資企業の間での税収上の差別待遇を取り払い、企業間の大きな税負担格差の問題を解決し、税負担を公平にする。
2. 科学的な発展観を貫き、環境保護と社会発展を全面的に促し、国民経済の持続的な発展を実現する。
3. マクロ調整の役割を果たし、産業グレードアップ及び技術進歩を推し進め、国民経済のメカニズムを最適化する。
4. 国際的慣例に基づいて、世界諸国の税制改革の経験を参照し、税法の科学性、完全性及び将来性を最大限具現する。
5. 配分関係を合理化し、国の財政能力と納税者の負担レベルの両方に配慮し、財政収入を効果的に保障する。
6. 税金の徴収及びその管理を規範化し、納税者のために便宜をはかり、税金徴収及び税金納入のコストを引き下げる。
「チャイナネット」2007年3月12日