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アニメブームをめぐる思考 ネックは「量から質へ」

多くの振興策に刺激を受け、中国のアニメ漫画産業はここ数年急速に加熱している。

大まかな統計によると、いまのところ中国全土で20数カ所の省や市がアニメや漫画を新興産業にするため、バックアップに力を注いでいる。北京、上海、蘇州、杭州、広州、深セン、大連、長春などの地域は相次いで優遇策を打ち出し、アニメ漫画産業基地を整備している。200を超える高等教育機関がアニメ専攻を開設した。また、さまざまなアニメ祭や漫画・アニメ展示会、フォーラム、漫画・アニメ作家育成クラスなどが次々と開かれている。中国の漫画・アニメは、長い厳冬期を経て、ようやく春を迎えたかにみえる。しかし、一部の専門家や業界関係者は逆に、中国のアニメ漫画産業ブームに「見かけ倒し」の一面があると指摘する。

マスコミが中国のアニメ漫画市場について「潜在力は巨大だが、作品や人材が不足している」と大量に報道する中、こうした報道を受けた投資熱の高まりで、中国のアニメ漫画産業は「急速拡張期」に入った。国家広播電影電視総局(放送・映像作品担当部門)が作成した「2005年第1回全国テレビアニメ題材、企画申請への返答」によれば、(中国政府の)承認を得られたアニメ作品は164部、2万4244回、長さは22万6585分にのぼる。これは2004年に全世界で作られたアニメ作品の総時間数を上回っている。中国市場は、これほど多量のアニメを消化できるのだろうか。

中国アニメ学会の李中秋副秘書長は「中国のアニメ漫画産業の問題は、生産基地を多く整備し、多くのアニメ作品を生産し、いわゆる市場の穴を埋めればすぐ解決できるというものではない」と述べる。李氏は、国内アニメ市場が海外作品で占められている根本的な原因は、国産アニメの量的な不足でなく、質的な不足にあると考えている。実際、生産量からみれば、中国は絶対的に世界のアニメ生産大国だ。中国アニメ学会の統計によると、2004年の中国産アニメは2万8千分で、さらに他国の請け負いで3万分以上を生産しており、総生産量は約6万分に上る。年間生産量12万分の日本に次ぎ、全世界の年間生産量の約3分の1を占める。

しかし米国や日本などと比べると、国産アニメの最大の弱点は、オリジナル作品が不足し、独自のブランドやキャラクターが生み出されていないことだ。そのため市場競争力がかなり弱く、視聴率も低い。

2000年に北京映画学院に全国ではじめてアニメ学部が設置されて以来、わずか四年ほどの間に、全国200以上の高等教育機関にアニメやデジタルアートの専攻が開設され、在学中の学生は3万人を超える。北京映画学院アニメ学部の孫立軍学部長は「『全国民によるアニメ推進』というブームが瞬く間に形成されたことは、中国の漫画アニメの発展には有利だが、しかし憂慮すべき問題も引き起こした」という。そのうち最も重要なのは教師の質の問題という。「一つの学校の生命力は能力が高く安定した教師たちであり、決して一朝一夕に成るものではない」と孫学部長は述べる。

オリジナル作品にはオリジナルを創りだす人材が不可欠だ。孫学部長は「中国のアニメ業界に足りないのは制作過程の中間を担う人材ではなく、制作過程の最初で企画したり創作する人材、つまり脚本や演出、美術担当者が非常に不足している。よいストーリーやキャラクター設定が無ければ、たとえ最高の技術があっても優れたアニメ作品を生み出すことはできない」と説いた。

こうした問題は、ブームの上滑りによる国内アニメ産業への悪影響をもたらしつつあり、発展のためには基礎を固めることが不可欠になることを明確に示している――と業界関係者は考える。孫学部長は「漫画やアニメは決して単なる娯楽ではなく、新たな経済の成長分野であり、さらには民族精神を育て文化を伝える大切な事業だ」と力説する。こうした視点から、中国政府は漫画アニメ産業の振興にさらに力を入れている。2004年4月、国家広播電影電視総局は「わが国の映画・放送・アニメ産業の発展に関する若干の意見」を制定し公布した。この24条からなる政策は、業界関係者から「中国アニメへの福音」と呼ばれる。アニメ漫画産業に対する政府の支援は、テレビドラマに対するここ数年の支援を超えたというのが、業界関係者の一般的な見方だ。

「人民網日本語版」2005年7月18日

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