税関総署が公表したデータによると、中国の貿易黒字は今年上半期(1~6月)に1125億3000万ドルを記録し、前年同期の614億5000万ドルに比べ83.1%の大幅増となった。このうち、6月の貿易黒字は269億1000万ドルとなり、月ベースで昨年10月の238億3000万ドルを上回り、過去最高となった。
また、先般のある記事によると、今月末までに、日本のコメが北京及び上海に進出し、1キロ90元の高価な値段で売られることになった。これは日本の最も良質なコメだと言われており、その値段は中国のコメの10-30倍である。また、今年上半期に、税関総署は関税668億元、輸入税2944元を課し、輸入税は関税の4.4倍となる。
全般的なレベルから見ると、中国の輸入税税率は約10%である。もし中国のコメの輸入税を10%とすれば、上述した関税と輸入税との割合に基づいて計算すると、関税と輸入税を課した後のコメのコストは1キロ61.6元となる。また、代理店や小売商社の利益及びコストを算入すると、1キロ90元のコメは高価なものではないと言えるだろう。しかし、この90元の小売価格は国内の消費者のニーズ及び消費意欲を抑えることになっている。
日本の最も良質なコメであるにもかかわらず、中国の最も良質なコメとはそんなに大きな違いがないだろう。現在、中国市場における国産コメの最も高価な値段でも20元を上回るものはない。輸入品の値段は国産品の4倍近くとなり、国内消費者の輸入品に対する消費意欲が鈍化するのは当然のこととなる。これは、輸入の角度から中国の貿易黒字が持続的に存在する原因を顕在化させるものとなった。
中国では、輸入品の値段が国産品を上回るのは個別のケースではない。その産地は発達国にしても発展途上国にしても、そのものが高級品であっても普及品であっても、小売市場における輸入品の値段は国産品よりずっと高い。これはかつてから、輸入品の品質は国産品より高いという消費者心理とかかわりがあると見られている。
中国の輸入品の構成を見ると、生産用原材料及び中間製品と直接消費品など2種類に分けられる。この2種類の輸入品に対して、中国は異なった管理方法を取っている。まず、生産用原材料及び中間製品に対して、ほぼ「ゼロ関税」の政策を制定し、中国の加工貿易の振興を促し、「大量の輸入、大量の輸出」という加工貿易の局面が形成されている。現在、中国の貿易総額における加工貿易の割合は約50-60%に達してる。一方、直接消費品に対して、関税、輸入税などの高い税率が「非関税障壁」となって、最終の消費価格を引き上げ、消費者の輸入品に対するニーズを制約している。
事実、現在の中国には、輸入を大いに促す物的基盤ができあがっている。まず、中国は世界でも最も望ましい外資の投資先の一つとなり、外資の流入は輸入に使われる外貨資金を増やしている。同時に、投資にともなう設備や技術の輸入は、一定の程度において貿易赤字を促している。また、人民元はすでに地域的な国際通貨となり、近い将来、主な国際貨幣となるに違いないと見られている。人民元の流出は、輸入製品を買い入れることによって実現するものである。したがって、現在、中国には貿易黒字を削減する物的基盤ができあがっていると言えるだろう。
「チャイナネット」2007年7月16日