ここ3年ほど、中国のボトル入り飲用水市場は毎年、ほぼ20%近いスピードで拡大している。2010年までに、その消費量は毎年1000万トンに達する見込みだ。市場に潜む巨大なビジネス・チャンスから、百社近い中国の飲用水メーカーが利益を得ている。ボトル入り飲用水がよく売れるのは、メーカーの強力な宣伝の結果であり、また人々が水質汚染に抱いている懸念を露呈している。
20年前に上海の黄浦江の汚染問題が報道されて以来、上海の市民は、長年にわたって飲用してきた水道水の安全性を疑い始めた。そして、上海の飲料メーカーはその機を逃さず、蒸留水の生産、販売を開始し、相当の利潤を得た。
その後、中国各地の水源汚染が明るみに出たことにより、都市の住民たちはますます市場で販売されているさまざまなミネラル・ウォーター、蒸留水、天然水といった飲用水商品に頼ってきた。西洋人が贅沢品とするボトル入り飲用水は、中国の庶民にとって、日常の飲用水の重要な選択となっている。
「水道水より、ボトル入り飲用水の方が安全だというのは誤解である」と、徐継康・衛生部飲料衛生標準協作組元組長は述べた。2001年に修正された『生活飲用水衛生規範』では、水道水中の微生物テストの結果は必ずゼロではなければならないと明確に規定されている。これは、アメリカの基準よりも厳しい。それでも、人々の水に対する意識は、大きく転換することはなかった。それは、人々の環境汚染問題に対するもう一つの意思表示であるのかもしれない。
「人民中国」より2007年9月30日