熱核融合実験炉イメージ図
EU委員会は10月24日、「国際熱核融合実験炉計画(ITER、イーター)」に関する協力協定を同日正式にスタートし、「国際核融合エネルギー機構」も同日正式に発足したことを明らかにした。
国際核融合エネルギー機構の設立は、人類のエネルギー問題の解決に重要な影響を及ぼすことになると見られている。
「ITER」計画はまた、「人工太陽」計画とも言われている。国際宇宙ステーション計画、ヒトゲノム研究などのプロジェクトと同じように、大規模国際科学技術協力プロジェクトであり、関係国の人口の総計が世界総人口の半分以上にのぼる。
この計画の目標は水素の同位元素デューテリウム、トリチウムの核融合反応によって放出されたエネルギーを利用することである。核融合の燃料であるデューテリウムとトリチウムは海水から抽出することが可能で、核融合反応では温室ガスや核廃棄物が出ない。原料が採取しても使っても尽きることがないうえ、環境にも危害を及ぼすことがないため、この計画の実施の結果は、人類が早期に、大規模核融合エネルギーを利用することを決づけるもので、人類の根本的なエネルギー問題解決プロセスにも影響を及ぼすため、非常に重要な意義がある。これも人類最初の大規模クリーンエネルギー製造核融合反応実験である。
1982年、米国、旧ソ連首脳の提案と国際原子力機関(IAEA)の同意のもとで、ITER計画の実施が確定された。ITER計画はIAEAから独立したもので、当初、ロシア、日、米、欧が共同で進めることで合意された。2003年2月、ロシアのサンクトペテルブルグで開催された「ITER第8回政府間交渉会議」で、中国は独立メンバーとしてこの計画に関する交渉に参加することとなった。これにより、中国はITER計画の総工費46億ユーロの10%を出資し、知的財産権のすべてを共有する。2005年、フランス南部のマルセイユ付近のカタールが核融合実験炉を建造する場所に選ばれた。
2006年5月24日、EU本部のあるブリュッセルで、中国、EU、米国、韓国、日本、ロシアとインドの7カ国の代表が『国際組織による共同国際熱核融合実験炉計画に関する協定』に仮調印し、これはITER計画が実質的な実施段階に入りつつあることを示した。2006年11月21日、7カ国の代表はパリで正式にこの協定に調印し、人類の新エネルギー開発というこの壮大な計画に全面的に取り組むことになった。
「チャイナネット」2007年10月25日