利上げや預金準備率引き上げなど過剰流動性回収措置により、上海地区の金融機関では現金が不足し、住宅購入に向けたローン顧客への貸し付けもできない状況に陥っているという。上海紙「東方早報」が伝えた。
中国人民銀行(中央銀行)は25 日に預金準備率を0.5%引き上げ、普通預金金融機関の預金準備率は過去最高の13%に達した。これに加え、年初来5回の利上げ、市中銀行に対する頻繁な短期債券発行、特別預金制度の実施などのマクロ調整措置で中小銀行は流動性収縮の圧力を感じている。国有銀行でも資金が不足する兆しを見せ、融資枠が限度に近づきつつあるという。
国有銀行上海支店の関係者は「今年は銀行預金が株式市場に流れた上、中央銀行はさまざまな通貨政策ツールを使い、全力で流動性の回収を進めている。このまま行けば、不動産ローン管理に関する新政策を発表する必要もなくなる。銀行に融資資金がなければ、リスク問題も存在しなくなる」と話した。
また、ある株式制銀行の上海支店関係者は、「不動産ローンを中心とする個人向けローンを全面的に縮小しており、企業向けローンは優良企業でなければ、融資が認められるのは困難な状況だ」と話す。一部支店では預貸比率が基準を超え、貸付資金がないばかりでなく、至る所から短期資金を調達している状況だという。
しかし、銀行が流動性管理で困難に直面していることについて、監督部門はそれほど心配していない。人民銀上海本部調査統計処の関係者は「銀行の資金不足は一時的な減少にすぎない。マクロ統計から見て、銀行業全体には依然として十分な流動性があり、中小銀行の流動性不足は自行の資産構成の特徴によるものだ。地区ごとに経済金融環境は異なり、銀行個別の状況は大きく異なる」と指摘した。
「人民網日本語版」2007年10月31日