中国から欧州に輸出される10種類の繊維製品をめぐる数量管理が、「中国・欧州繊維製品貿易了解覚書」に基づいて今年度末に終了する。つまり来年1月1日からは、中国企業の対欧州繊維製品輸出の数量制限が撤廃されることになる。
こうした動きと並行して、2008年から中欧双方は覚書中の8製品を別の二国間監督コントロールシステムに組み込み、1年間の対欧輸出許可制度を実施するとともに、企業の経営参入資格制度を施行する。
▽少数の数量制限と多数の貿易自由化の交換
商務部の高虎城副部長によると、2005年に世界の繊維製品貿易の新旧体制が入れ替わった時、中国製品の輸出はさまざまな貿易保護主義的措置の脅威にさらされたが、中国経済の急速な発展に対する影響はなかった。これは主として「中欧繊維製品貿易了解覚書」調印によるところが大きい。
高副部長の説明によると、05年に世界の繊維品貿易が一体化を実現すると、輸入割当の撤廃によりこれまで長らく抑えられていた中国の一部繊維製品の成長への潜在力が短期間に急速に顕在化した。欧州・米国などの一部の国・地域は中国繊維製品の輸出の巨大な潜在力を懸念して、中国製品に対しさまざまな貿易救済措置を頻繁に実施するようになった。貿易摩擦が頻発した04~05年には、対象金額は90億ドルを超え、約100万人の雇用に影響した。
厳しい情勢に直面して、中欧双方は05年、厳しいやりとりを経て最終的に覚書に調印。これにより、中国側は少数の繊維製品の輸出数量制限に同意し、欧州側は多数の繊維製品の貿易自由化を認めるとともに、繊維製品への特別制限措置を限定的に使用することを承諾した。高副部長は「これにより中欧の繊維製品貿易摩擦が解決され、その他の発展途上国の繊維製品問題への懸念も解消され、中国と主要繊維製品輸入国・地域との貿易問題解決の成功モデルが創出された」と話す。
商務部がまとめた統計データによると、中国の対欧州繊維製品輸出額は05年が183億2千万ドル、06年が223億1千万ドルで前年比21.8%増加した。06年は数量管理の対象製品の輸出額が繊維製品輸出額全体に占める割合はわずか7.4%だった。繊維産業の雇用者数は04年に比べて300万人以上増加し、うち対欧輸出の伸びによるものが約20%を占めた。
▽数量制限から双方の監督・コントロールへ
商務部の高虎城副部長によると、中国産繊維製品の対欧州輸出の数量制限撤廃は、中国の対欧繊維製品貿易の完全自由化を意味しない。対欧輸出の数量制限撤廃を前提として、中欧双方は今後8種類の繊維製品について双方の監督・コントロールシステムを採用する。対象製品は、Tシャツ、プルオーバー、男性用ズボン、女性用ブラウス、スーツ、女性用下着、シーツ、亜麻製品など。
実際には今年9月28日、中欧双方は繊維製品の双方の監督・コントロールシステム構築について合意に達している。中国側は8製品について1年間の輸出許可制度を実施し、数量制限は設けず、関連企業の経営資格参入制度を施行する。具体的な資格認定基準と認定企業のリストは繊維業界の仲介機関により発表される。
双方の監督・コントロールシステムの規定に基づき、商務部は1年以内に対象8製品の対欧輸出について、おおまかな数量・価格などを関連資料として欧州連合(EU)の欧州委員会に提出する。中国からの繊維製品輸出になんらかの変動や異常がみられた場合、EUは一方的に輸入管理制限措置を取る権利を有する。
高副部長によると、繊維製品貿易一体化の最大の受益者である中国にとって、繊維製品貿易の総合的環境の安定維持は産業界の長期的発展と輸出成長モデルの転換にプラスになり、責任ある貿易大国というイメージ作りにもプラスになる。多数の繊維製品メーカーの利益にもなる。高副部長は「多数の繊維製品輸出企業が、業界の経営秩序維持の要求に積極的に対応し、輸出経営秩序を規範化し、輸出製品の品質を向上させ、輸出の製品構造を改善し、08年の対欧繊維製品輸出の安定的発展を共同で維持することを願う」と述べた。
「人民網日本語版」2007年11月7日