ユーロと英ポンドが値下がりを続けており、中国と欧州との関係に潜在的な影響を与える要素となりつつある。今年1月末現在、人民元の対ユーロレートは8.78%値上がりし、人民元の対英ポンドレートは昨年12月に6.42%値上がりしたのに続き、1月には再び4.38%値上がりした。1月の人民元の名目実行為替レートは112.49で、昨年12月に比べて0.82%上昇した。「国際金融報」が伝えた。
ユーロ・英ポンドレートの変動は、両通貨を貿易決済通貨とする中国の対外貿易企業の輸出入リスクを増大させる。対外経済貿易大学金融学院の丁志傑副院長によると、人民元のユーロや英ポンドに対する値上がりが、今後一定の期間、中欧貿易に消極的な影響を与えるものとみられる。ユーロ建てで価格を設定する輸出企業は利益が大幅に縮小し、中国から輸入する欧州の企業は、その多くが米ドル建てで決済しているため、中国製品へのニーズが低下することが予想される。
丁副院長によると、ユーロの大幅な値下がりの根本的な原因は欧州が被った二度目の金融危機にあるという。東欧の銀行業界の問題が外国為替市場に波及し、さらに西欧に波及して大きな影響を与え、国際市場におけるユーロの大幅な値下がりをもたらした。最近、人民元の対米ドルレートは1ドル=6.83元で落ち着いているが、人民元の対ユーロレートは危機の影響を受けて上昇した。
米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付き問題に端を発した第一の金融危機の余波もまだおさまらないうちに、欧州を主戦場とする第二の金融危機が発生し、事態はなお集束していない。東欧には現在、総額約1兆7千億ドルの外国債券があり、この地域の国内総生産(GDP)の総和を上回る。うち借款の多くがまもなく期日を迎える。
丁副院長によると、現在、危機はまだ過ぎ去っていない。経済の変動にはレート市場における主要通貨間の複雑な関係が反映されている。全体的にみて、2009年には米ドルがユーロや英ポンドに対して強くなり、ユーロは引き続き劣勢に立たされることが予想される。
「人民網日本語版」2009年3月3日 |