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金融危機、GDPより雇用への打撃は大きい |
発信時間: 2009-03-09 | チャイナネット |
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全国人民代表大会常務委員を務める中国社会科学院人口労働経済研究所の蔡ホウ所長(全人代農業農村委員会委員兼任)はこのほど、「金融危機のダメージはGDPよりも就業に対してより大きいものとなる」と注意を促した。就職が安定していない9千万人にのぼる農民工(出稼ぎ労働者)の失業の深刻さは決して見くびってはならない。「経済が復調しても就業が続かないことも十分ありうる」と蔡所長は指摘する。 蔡所長によると、今回の金融危機の影響はいくつかの特徴を持っている。まず、労働集約型の輸出向け企業へのダメージが最大となったこと。このため、就業へのダメージがGDPへのダメージより大きくなった。次に、打撃を受けた企業が出稼ぎ労働者就業の中心となる企業だったこと。最大の就業ダメージを受けたのが出稼ぎ労働者だったのはこのためだ。 蔡所長はさらに、就業なしの回復を防ぐよう関連部門に呼びかけている。注意すべきなのは、経済が回復しても失業率が高いままという状況だ。各国でこのような状況が生まれている理由はさまざまだが、共通点もある。技術のグレードアップと産業の海外移転という現象を伴っていることだ。 各企業は経済衰退にあたって、コスト削減や効率アップをはかり、オートメーション化された設備を使い、人手を減らすなどの措置を取る。労働集約型の企業は、労働力コストを節約するため、比較的進んだ国から比較的おくれた国へと移転するようになる。技術のグレードアップも産業移転も、就職のチャンスを少なくするプレッシャーとなる。 産業のグレードアップと就業保障との矛盾はどのように解決すればいいのか。蔡所長はこれについて、中国の東部と西部には大きな格差があるため、発展が停滞している労働集約型産業を中西部に移転してはどうかと提案している。中国の中西部はインドやベトナムと同様、労働力コストの面での高い競争力を誇っているためだ。 中国の賃金レベルは絶え間なく向上しているものの、賃金の伸び幅と労働生産性の伸び幅は一致しており、労働力コストの面での優勢は変わらない。中国中西部は、政策環境やインフラ、労働者の素養のいずれを取ってもインドやベトナムを上回っており、労働集約型産業を発展させる上での大きな優勢を持っている。必要なのは、中国南東沿岸部の労働集約型企業を中西部に移転させ、インドやベトナムに流れていくことをできるだけ防ぐことだ。 ※蔡ホウ氏の「ホウ」は日へんに「方」 「人民網日本語版」2009年3月9日 |
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