工業情報化部原材料工業司の陳燕海司長は16日、国際的な鉱業大手のリオ・ティントとBHPビリトンとの合弁企業設立について見解を発表し、中国鉄鋼企業の利益を守るための対策を積極的に模索していく姿勢を明らかにした。「国際金融報」が伝えた。
陳司長によると、大手2社の提携は中国鉄鋼業界の健全な発展に非常に大きな影響を与えるとして、次の6項目の意見を述べた。
(1)大手2社の提携には業界独占の色合いが濃厚だ。中国は世界最大の鉄鉱石輸入国であり、両社の提携は中国鉄鋼業界に打撃を与え、中国鉄鋼企業の利益を損なう可能性があるため、提携がもたらす可能性のあるダメージを注視し、相応の対策を積極的に検討する。
(2)大手2社の提携は「中華人民共和国反独占法」に抵触する。
(3)大手2社の提携が公平な競争の原則に違反し、独占の局面をもたらすならば、中国は新たな政策措置や管理措置を取って、中国の国際市場における鉄鉱石の価格設定での発言権を高めるよう求めることに反対しない。
(4)中国鋼鉄工業協会が、中国鉄鋼業界の唯一の代表として鉄鉱石の価格交渉を行うことを引き続き支援する。
(5)中国鉄鋼企業は、内部管理を強化し、技術の進歩や改造に力を注ぎ、製品の構造調整や省エネ・汚染物質排出削減を推進し、資源の総合的利用効率を高めるよう努力することが必要だ。
(6)国内にある鉱山の競争力を高める必要がある。中国の資源埋蔵・貯蔵状況の特徴を総合的に踏まえると、採掘の条件は整っているが、選鉱作業が難しい菱鉄鉱、褐鉄鉱、赤鉄鉱(微細結晶)については探査、採掘、科学的研究に一層力を入れて、科学的利用を進めなくてはならない。また膨大な量に上る純度15%前後の超低純度鉱物を産出する鉱山の科学的採掘・利用を議事日程に組み込み、長期にわたり輸入に依存する状況を回避する必要がある。
陳司長によると、中国は世界最大の鉄鉱石輸入国だ。2008年の輸入量は4億4千万トンに上り、世界の鉄鉱石貿易量全体の約50%を占めた。国際鉄鉱業界のわずかな動きでも、中国鉄鋼企業に影響を与えることは確実だ。
鉄鉱石価格をみると、02年以降は6年連続で価格が上昇した。02年の中国の平均輸入価格(CIF価格)は1トンあたりわずか25ドルだったが、08年には136ドルとなり、6年間で5.4倍に上昇した。02潤オ08年の間に、中国鉄鋼企業の支出は価格上昇によって約1千億ドル、人民元に換算すれば約7千億元増えたことになり、これは同期の中国鉄鋼企業の利益合計の2倍を超える数字だ。中国鉄鋼企業は鉄鉱石のために大きな代価を支払った。
陳司長は「金融危機を背景として、中国が提起した鉄鉱石の値下げ要求は合理的であり、取引相手の合理的な利益を損ねるものではない。こうした状況の中で、中国企業は苦労の中から教訓をくみ取り、冷静な分析を行い、一致団結して、中国鉄鋼業界の全体的な利益を守り、中国鉄鋼産業の持続的で健全な発展を促進していかなければならない」と述べた。
「人民網日本語版」2009年6月17日