米フォードは先週、アジア太平洋とアフリカの地区本部をタイから上海に移転する計画を発表した。ゼネラルモーターズやフォルクスワーゲン、クライスラーに続き、フォードも、自動車市場が急速に発展している中国にアジア太平洋地域の指揮中枢を移すことを決めた。経営不振に対する調整策として、自動車メーカー各社は、東南アジアや日本、オーストラリアから中国へと業務の中心を移している。中国は単一的な製造拠点から全面的な業務センターへと転換しつつある。
フォードの今回の地区本部移転は、大きな伸びを見せる新興市場の需要に対応するためでもあるが、世界の自動車産業における同社の地位を確保するための必然的な選択でもあった。
フォルクスワーゲンの中国での業務はすでに、年間100万台の規模を突破している。ゼネラルモーターズは現在、年間200万台の計画を練っている。同じく自動車産業の先駆企業であるフォードが年間30万台足らずの売り上げに満足しているはずはない。中国市場へとさらなる資源を投入し、市場シェアを高め、将来の市場競争に打ち勝つことが、今回の地区本部移転の重要なねらいだ。
アナリストによると、中国に設立されるグローバル企業の地区本部が増えるに従い、中国市場を基準に作ったグローバル車種も増え、各メーカーの戦略的目標も「中国向けに車を作る」から「中国モデルを作る」へと変わり、「中国で新車を開発し、中国市場でテストし、世界に売り出す」へと変化を遂げていくことになる。
アジア太平洋地区における市場配置・研究開発・販売計画の中心として中国を選ぶことは、自動車メーカーの共通認識となっている。フォルクスワーゲンとゼネラルモーターズは04年、アジア太平洋地区の本部を中国へと移した。クライスラーもこれに続いて、アジア太平洋地区の本部を上海に置いた。ベンツは05年、ダイムラークライスラーの機構を土台として、中国と韓国の業務を扱う北東アジアの新たな地区本部を北京に建設した。ボッシュやグッドイヤーなど自動車部品を扱う大型メーカーもアジア太平洋地区の本部を日本から中国へと移している。
「人民網日本語版」2009年6月30日 |