西部の天然ガスを東部へ輸送する「西気東輸プロジェクト」の最初のパイプラインは04年10月1日に工事を終え、中国を横断するエネルギー大動脈としての役割を果たし始めた。長江三峡ダムプロジェクトに続く重大投資項目として、西気東輸プロジェクトは、西部大開発の幕を開けた。年間輸送能力はすでに120億立方メートルを超え、標準石炭1600万トンの代替が可能な規模となっている。西気東輸プロジェクトのパイプラインは、新疆タリムを西端、上海を東端とし、幹線だけで全長4千キロ近くに達する。東西9省(自治区・直轄市含む)にまたがり、黄河を3回超え、長江を1度わたり、呂梁山や太行山などの山脈を越えてつながる。中国ですでに完成した天然ガスパイプラインとしては、パイプラインが最長で、パイプ口径が最大で、投資額が最高で、輸送量が最大で、工事環境がもっとも複雑なプロジェクトとなった。
国家エネルギー局の担当者によると、中国には豊かな天然ガス資源があり、経済が余り発達していない西部地区に集中している。一方、見通しが明るい天然ガス消費市場は中部と東部に集中している。西気東輸プロジェクトには、西部の資源の優位性を経済的な優位性に転換する作用がある。パイプラインのの幹線は9省を通るが、そのうち4省は中西部に属する。天然ガスの開発投資の100%、パイプライン投資の67%は中西部でなされている。プロジェクトの実施は、西部地区の経済発展を力強く促進している。新疆地区の天然ガス資源の調査と開発は、新疆を全国の天然ガス生産と輸送の重要拠点とし、新疆の経済と社会に新たな成長分野を提供した。同時に、巨大な消費市場を東部に作り出し、パイプラインが通る省の発展潜在力を刺激し、就職口を大量に増やし、内需を拡大し、新たな経済成長ベルトを生み出すことになった。
西気東輸プロジェクトの建設は環境保護にも有利となる。天然ガスは環境に優しいエネルギーであり、二酸化硫黄や粉塵の排出量はゼロに近く、二酸化炭素の排出量も低く、ほとんど汚染源とならない。西気東輸プロジェクトは、中国の一次エネルギーに占める天然ガスの割合を2%から3%前後にまで高めた。
西気東輸プロジェクトで形成されたエネルギー大動脈はこれまで5年間にわたって運用されてきた。国民経済の発展と西部大開発においてますます重要な役割を果たすようになっている。世界最長の国際天然ガスパイプラインとなる西気東輸プロジェクトの第二ライン工事は08年初めに正式に起工した。このパイプラインは、トルクメニスタンの天然ガスパイプラインからつながっている。中国国内は、新疆のコルガスを西端とし、東は上海まで、南は広州・深セン・香港にまでつながる。国内外の天然ガスを珠江デルタ地区・長江デルタ地区に運び、東部地区にクリーンエネルギーを提供する役割を果たす。西気東輸プロジェクト第二ラインは2010年に完成し、運用開始となる見込みだ。パイプラインは13省にまたがり、全長は支線を加えると7千キロに達する。幹線の輸送規模は年間300億立方メートルと設計されている。
国家エネルギー局の担当者によると、西気東輸プロジェクト第二ラインは3000億元以上の投資を牽引(けんいん)し、パイプラインの完成後は天然ガスの利用比率を1ポイントから2ポイント上げることになる。輸送される天然ガスによって、標準石炭7700万トン分が毎年代替できるとされる。二酸化硫黄の排出量は166万トン減少、二酸化炭素の排出量は1億5千万トン減少する。西気東輸プロジェクト第二ラインは、国家の石油・天然ガスの供給安全を確保する重大プロジェクトであり、中国のエネルギー構造を改善し、省エネ・排出削減を促進し、国際エネルギー協力の共益を推進する大きな役割を果たす。
「人民網日本語版」2009年9月4日