7月、米国南部ジョージア州の強い日差しの下、ペカンの苗木は元気よく育っていたが、農場主のランディ・ハドソンさんは浮かない顔をしていた。
ハドソンさんを悩ませているのは、米国がけしかけた中米貿易摩擦だ。米国の保護貿易主義の振る舞い対する報復として、中国は、ペカンを含む一部の米国の商品への追加関税の徴収を余儀なくされた。ハドソンさんは、米国の保護貿易主義措置に憂いと憤りをおぼえている。過去20年にわたって心血を注いできた事業が水の泡になるかもしれないと心配している。
ハドソンさんは昨年、1000万ドルの融資を受け、ペカンの貯蔵・加工能力を拡大した。過去20年にわたって中米貿易が急速に成長してきたことを見越しての計画だった。この20年で、ハドソンさんの営む会社の中国へのペカン販売額はゼロから年間2000万ドルへと成長した。
20年前、米国のペカンの価格は低迷していた。ペカン栽培の家に生まれたハドソンさんは、ひとりで海外に新市場を探しに行った。中東やインドなどを回った後、最終的に見つけたのが中国だった。1998年に初めて中国に行った時には強い印象を受けた。「中国人は私を熱意をもって受け入れてくれ、私のペカンが中国市場に入れるよう多くの便宜を図ってくれた」
その後の20年で米国のペカンの栽培面積は拡大を続けた。ハドソンさんの農場は数百エーカーから2500エーカーに拡大した。付近の大型農家の農場面積は1万エーカー以上に達した。
ハドソンさんの農場のあるオシラ付近の丘陵にはペカンの苗が一面に植えられていた。ハドソンさんによると、これらの苗は、中国市場で好まれる品種を選んで植えられた。「中国人消費者は大粒のペカンを好む。また春節前に販売できる早熟品種も売れ線だ」