知的財産権は革新型国家建設の重要な支柱であり、司法裁判は知的財産権保護の中心、重要な一環だ。裁判の最前線に長年立ち続けているベテラン裁判官、北京知識産権法院(知的財産権裁判所)副院長の宋魚水氏は、中国の知的財産権司法裁判事業の発展に参与し、これを推進してきた。宋氏は、新中国成立70周年、特に改革開放から40年に渡り、中国の知的財産権司法保護が発展を続け、社会の革新体制の建設を推進してきたと判断した。また、中国の知的財産権司法裁判は国内外企業を平等に扱い、彼らの革新と発展を保護していると強調した。
知的財産権事件が急増、専門的で複雑に
中国の知的財産権関連事件は過去数十年で急増した。宋氏によると、北京の各級裁判所が受理する知的財産権事件の数は、90年代前半は少なかった。中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟すると、中国の知的財産権司法保護は発展の高速道路に入り、受理する事件の数も年々増加するようになった。科学技術の急成長に伴い、中国の知的財産権事件は近年、急増の時期を迎えた。
宋氏は「北京知識産権法院が設立されてから5年にもならないが、現在まで受理している各種知的財産権事件は5万件を超える。年平均30%のペースで増加している。2018年だけでも1万8318件にのぼり、設立当時の倍以上になった。また結審した各種事件も4万件以上に達し、年平均で50%増加している」と説明した。
事件が年々増加すると同時に、事件の内容が専門的で複雑になっている。宋氏は「当初の知的財産権司法事件は主に、実体を持つ商品の権利侵害の訴訟が中心だった。しかし近年は技術系の事件が占める割合が上がり、20%以上に達しており、かつ多くの新興産業の事件が出始めている。また外国関連事件の割合も約30%に達している。中国の権利者が外国の当事者による権利侵害を訴える事件が増えており、かつ訴訟の双方が外国企業の事件も出始めている」と話した。
中国の知的財産権司法裁判、国内外企業を同一視
グローバル化の発展に伴い、世界的に重要な消費市場としての中国の力が日増しに浮き彫りになっている。中国の知的財産権保護制度も日増しに構築され、多くの外国企業が中国を知的財産権をめぐる訴訟の戦場としている。
米クアルコムは2017年10月、アップルから特許を侵害されたとして、iPhoneの中国における生産・販売停止を求め北京知識産権法院に提訴した。米国の2社が中国で知的財産権をめぐる訴訟を起こしたことは、世界から広く注目を集めた。今年の年初には世界2大LED有名企業、中国台湾の億光電子工業と日亜化学工業が北京知識産権法院に対して、白光LED発光及びディスプレイの発明特許権をめぐる訴訟を起こした。専門家と学者は、中国で国際的な訴訟が増えていることは、中国の知的財産権に対する司法保護が信頼できることを証明していると判断した。
これらの外国関連の知的財産権事件について、宋氏は「裁判官は事件を審理する際に、訴訟の原告と被告、権利者と義務者の区別しかせず、中国と外国の区別はしない。そのため中国の知的財産権司法裁判は平等という原則に基づき中国と海外企業を扱っている。つまり中国の知的財産権司法裁判は中国企業の知的財産権を保護するだけでなく、世界各国の企業の革新を保護している」と話した。