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japanese.china.org.cn |12. 05. 2020

新型コロナパンデミック:なぜ大都市医療能力はこれほど脆弱に?

タグ: 都市医療

 (2)医療従事者の大幅減員


 ウイルス感染がもたらした医療従事者の大幅な減員が、新型コロナウイルス禍のもう一つの特徴である。


 ウイルス感染拡大の初期、各国は一様に新型コロナウイルスの性質への認識を欠いていた。マスク、防護服、隔離病棟などの資材不足がこれに重なり、医療従事者は高い感染リスクに晒された。こうした状況下、PCR検体採取、挿管治療など、暴露リスクの高い医療行為への危険性が高まった。これにより各国で現場の医療人員の感染による減員状態が大量に起こった。オーバーシュートで、元より不足していた医療従事者が大幅に減員し危機的状況はさらに深刻化した。


 救護過程のリスクばかりでなく、慶應義塾大学病院の研修医の会食で引き起こされた医療従事者の集団感染とそれに伴う隔離治療は、もともと緊迫していた東京の医療人的リソースに大打撃を与えた。


 国際看護師協会(ICN)が公表した情報によると、5月6日までに報告された30カ国のデータでは、少なくとも9万人の医療従事者が新型コロナウイルスに感染した。個々の状況では、スペインでは5月5日までに、4万3956人(全感染者の18%)の医療従事者が新型コロナウイルスに感染した。イタリアでは、4月26日までに、1万9,942人の医療従事者が感染し、150人の医師と35人の看護師が亡くなった。


 東京では5月11日までに25の医療機関で院内感染が起こった。4月末には、日本での院内感染者は確認された新型コロナウイルス感染者の1割近くにも達した。


 強力な感染力を持つ新型コロナウイルスは、医療従事者の安全を脅かし、医療能力を弱め、都市の医療システムを崩壊の危機に陥れている。


 医療従事者の安全を如何に最優先に守って行くかが、新型コロナウイルス対策の肝心要となっている。


 (3)病床不足


 新型コロナウイルス感染拡大後、マスク、防護服、消毒液、PCR検査薬、呼吸器、人工心肺装置(ECMO)などの医療リソースの枯渇状況が各国で起こった。とりわけ深刻なのは病床の著しい不足である。感染力の強い新型コロナウイルスの拡散防止のため、患者は隔離治療しなければならない。とりわけ重症患者は集中治療室( ICU )    での治療が不可欠だが、実際、各国ともに病床の著しい不足に喘いでいる。


 人口1千人あたりの病床数データで見ると、日本は13.1床で世界でも最高水準にある。12万8000病床数を有する東京は、1千人あたりでみると9.3床となる。そんな東京でもいま、病床不足に悩まされている。


 東京と比べイタリアの人口1千人あたりの医師数は若干高いものの、1千人あたりの医療機関病床数では、僅か3.2床でしかない。アメリカの1千人あたりの医療機関病床数は2.8床で、ニューヨーク州はアメリカ全土の平均よりさらに少なく2.6床となっている。病床不足が医療機関の患者収容能力を制約し、新型コロナウイルス患者治療のボトルネックとなっている。


 中国は人口1千人あたりの医療機関病床数が4.3床で、日本の四分の一にすぎないもののイタリアよりは高く、アメリカと同等の水準である。とりわけ9万5,000の病床を持つ武漢市は、1千人あたりの病床数が8.6床と高く、東京の水準に迫っている。しかし、武漢も新型コロナウイルスオーバーシュート期は、深刻な病床不足状態に置かれた。


 特に問題なのは、すべての病床が新型コロナウイルス治療の隔離要求に耐えるものではない点にある。これに、爆発的な患者増大が加わり、病床不足状況が一気に加速した。


 武漢は国の支援で迅速に、専門治療設備の整う火神山病院と雷神山病院という重症患者専門病院を建設し、前者で1,000床、後者で1600床の病床を確保した。このほかに、武漢は体育館を16カ所の軽症者収容病院へと改装し、素早く1万3,000床の抗菌抗ウイルスレベルの高い病床を提供し、軽症患者の分離収容を実現させた。先端医療リソースを重症患者に集中させ、パンデミックの緩和を図った。武漢の火神山、雷神山そして軽症者収容病院建設により、病床不足は解消された。


 日本は病床数不足により一時期、感染患者の在宅隔離を実施していた。こうしたやり方は患者の家族を感染の危険に晒し、家庭内での集団感染を生む可能性がある。また、患者は有効な専門治療を施されず、健康状況の把握がされないまま、病状急変により救援治療が間に合わないこともありうる。


 幸いにして現在、こうした在宅隔離はほぼ改められ、ホテルなどの施設を改修し、軽症患者を収容している。


 東京での更に深刻な問題はICU(集中治療室)の驚くべき不足である。2018年の時点で、日本全国の人口10万人あたりのICU病床数は4.3床でしかない。アメリカの35床、ドイツの30床、フランスの11.6床、イタリアの12.5床、スペインの9.7床に比べても圧倒的に少ない。


 日本国内で最も感染者数を抱える東京都は目下、ICU病床が764床しかなく、人口10万人あたりのICU病床数は5.5床に過ぎない。重症患者を受け入れられるだけの病床数の確保が、医療システムの崩壊を避ける鍵となっている。


 新型コロナウイルス治療用病床の確保のため、各国がとった措置は実に様々であった。アメリカに至っては、海軍の医療船も派遣した。トランプ大統領は3月下旬に医療船マーシー号( USNS Mercy)とコンフォート号(USNS Comfort)をそれぞれロサンゼルスとニューヨークに配備した。各々1千病床を持つ2隻の医療船は、新型コロナウイルス感染者の治療に適していないものの大勢の一般患者を受け入れた。これにより、現地の総合病院ではより多くの病床を新型コロナウイルス治療へと振り当てることにつながった。


 「緊急輸入病院」も一種新しい選択肢となった。新型コロナウイルスオーバーシュートに伴う深刻な病床数逼迫に喘いだ韓国は、中国企業遠大グループから「病院」を丸ごと輸入した。遠大はステンレス製プレハブ建築方式を用いて、韓国にオゾン技術を活用した空気清浄・陰圧化ユニットで構築された「陰圧隔離病棟」を迅速に輸出した。現地では僅か2日間の工程で、施設の使用が可能となった。

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