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japanese.china.org.cn |25. 10. 2022

中国新エネ車メーカー、欧州市場を理性的に観察すべき

タグ: エネ車 欧州 市場 ガソリン車
中国網日本語版  |  2022-10-25




 パリモーターショーがポルト・ド・ヴェルサイユ展示場で開幕した。従来と異なり、今回のパリモーターショーの主役は新エネ車だ。出展中の中国製新エネ車、特に電気自動車(EV)が注目を集めている。(筆者・趙永昇 対外経済貿易大学国家対外開放研究院及びグローバルイノベーション・ガバナンス研究院の研究員)

 

 中国車はこれまでのモーターショーではほぼ「脇役」だった。パリモーターショーが開催されれば必ず見学する熱心なファンの筆者は、中国製新エネ車が今回パリで一席を占めたことを喜んでいる。ただ我々は新興経済体として、最も早く産業化を実現した「古い大陸」の欧州、産業が整っており強い力を持つ「新大陸」の米国、その後台頭した日本や韓国などの国に対して冷静を保つべきだ。中国新エネ車の欧州市場、特に同市場の内因性、外因性、市場のねじれ、持続可能性などの重要指標を理性的に見るべきだ。

 

 まず、次のデータを振り返ろう。中国自動車メーカーの今年1-9月の輸出台数は前年同期比55.5%増の211万7000台で、昨年通年を上回っている。中国はドイツを抜き、日本に次ぐ世界2位の自動車輸出国になった。今年8月のデータを見るならば、中国の同月の輸出台数は世界一だった。

 

 欧州(特にEU)の新エネ車市場の内因性・外因性需要がますます旺盛になっている。まず、欧州人の環境保護意識は世界トップレベルであるが、これは欧州大陸が最も早く産業化を実現し、汚染に苦しみ環境保護の利益を熟知していることと直接関連している。次に、世界の新エネ車は現在、ガソリン車時代のビジネス構造に衝撃を及ぼしているが、欧州はそれが世界で最も急激に進行している大陸だ。

 

 次に、欧州新エネ市場の「ねじれ」を見ていこう。欧州は世界のエネルギーモデル転換の最も「急進的」な地域の一つだ。欧州、特にEU諸国は長年に渡り数々の政策を打ち出し、補助を増やし税制を改善すると同時に、関連する排出基準を引き上げた。多くの奨励・処罰措置及び法規もEUレベルで力強く実施されており、EU各加盟国の新エネ車市場が雨後の筍のように誕生した。欧州議会は今年6月に、2035年よりガソリン車のEUでの販売を全面的に禁止することを明確に定めた。この措置は欧州の自動車電動化のペースをさらに上げた。

 


 現在の欧州の新エネ車市場の拡大は「市場駆動型」ではなく「政策駆動型」と言える。この「政策駆動型」が中国自動車メーカーの欧州市場での優位性を長期的に維持できるかは検討すべき問題だ。北欧諸国のノルウェーを例とすると、長年に渡る新エネ車への助成及び費用減免により、ノルウェー政府は昨年34億1000万ドルの財政赤字を出した。ノルウェーの立法機関は、EVへの減税率の引き下げを検討する提案を始めた。ノルウェーはグリーン及び新エネ車分野で先を行く国で、その他のEU諸国も追随する可能性がある。これは主に「政策駆動型」により現地市場に進出した一部の中国新エネ車メーカーにとって大きな試練となる。

 

 中国の新エネ車の産業チェーン・サプライチェーンの優位性が近年極めて顕著になっていることは確かだ。しかし長期的に見ると、中国の新エネ車メーカーはEU現地の同業者と利益を共有するべきだ。一部の成功例はその他の自動車メーカーにとって参考になる。例えば国軒高科は今年6月にドイツの生産拠点を稼働させた。同拠点はボッシュ独ゲッティンゲン工場のM&Aを基礎としバッテリー製造にモデル転換・高度化したもので、年間生産能力は18GWhにのぼる。寧徳時代は独テューリンゲン州でバッテリー拠点の投資・建設を行っており、2026年には年間生産能力が60GWhにのぼる見通しだ。同プロジェクトはBMW、ダイムラー、VWなどの自動車メーカーにバッテリーを提供し、現地で2000人分を超える雇用枠を創出する。

 

 欧州、日本、米国などの先進経済体の自動車メーカーが新エネ車の研究開発に巨額の投資を行っており、EUが近い将来に新エネ車への助成・減免を徐々に取り消す可能性が極めて高く、必要な場合にはその得意とする産業規制及び壁を利用することを考えると、中国新エネ車業界は油断大敵であり、欧州市場を理性的に見る必要がある。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年10月25日