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japanese.china.org.cn |08. 02. 2023

中央経済活動会議から読む 2023中国経済の重要な動き

タグ: 中国経済
人民中国  |  2023-02-08

 毎年末に開かれ翌年の経済政策の基本方針を決める中央経済活動会議が昨年12月15、16日、北京で開かれ、習近平中国共産党中央委員会総書記・国家主席・中央軍事委員会主席が2022年の経済活動を総括し、現在の経済状況を分析、23年の経済活動について布石を打った重要談話を発表した。 

 今回の中央経済活動会議は、第20回党大会後、党指導部が初めて開く中国経済を研究する特別会議だ。また、この百年にはなかった変動が進み、世紀的なパンデミックの長期化という背景の下、中国経済について深く検討・評価し、成長の方向性を決める会議でもあり、その意義は極めて大きい。 

 中国経済はどうなっているか 

 会議では、中国経済の回復の基礎は現在まだ強固ではなく、需要の縮小・供給ショック・期待の低下という三重の圧力は依然大きいと指摘。また外部環境は不安定で、中国経済への影響は深まっている、とした。しかし、中国経済は強じん性を備え、大きな潜在力と十分な活力があり、各政策の効果も現われ続けており、今年の経済運営は全体として上向く見通しだ。経済活動をしっかり行う自信を固めなければならないとも指摘した。 

 中国経済の運営状況を振り返ると、この5年は年平均の成長率が5%以上で、全世界の平均を上回った。昨年から「三重の圧力」が引き続いており、想定外の要素のショックが増えたことにより、中国の経済成長の内外環境はより複雑・深刻化しているが、習近平総書記を核心とする党中央は、「感染症を食い止め、経済を安定させ、安全の中で発展する」と明確な要求を打ち出した。また、「安定」を優先し、安定の中で前進を求めることを常に堅持し、社会主義現代化国家の全面的建設の新たな征途において確かな一歩を踏み出すようけん引している。 

 中国政府の新型コロナウイルス感染症に対する予防・抑制策は絶えず改善、調整されている。中国は現在、世界の主な大国の中でコロナ感染症の発病率が最も低く、死亡者数が最も少ない国である。また、最小のコストにより最大の予防・抑制効果を実現するよう努めており、経済・社会の正常な運営に根本的な条件を創り出した。それは、◇コロナ感染症が突然発生した2020年、中国の経済運営は絶えず安定的に回復し、世界の主な経済大国の中で真っ先にプラスの成長率を実現した◇感染症による深刻な打撃を受けた湖北省のGRP(域内総生産)が21年には5兆元の新たな段階に上り、全国7位に返り咲いた◇広東省深圳市は昨年3月、感染症の影響で社会生活の「スローボタン」が押された状況から、10日もかからずに産業チェーンとサプライチェーンの安定回復を実現した――といったものだ。 

 中国経済が感染症による困難を何度も突破し前進できた大きな理由は、政府が常に企業を苦境から救済し、市場参入者の負担を軽減し前進できるよう支援に努めてきたからである。例えば、◇昨年11月までに新たに全国で実施された減税・行政手数料の引き下げ、および税の還付・税と手数料軽減の合計は、3兆7000億元を超えた◇実体経済に対する人民元建ての融資残高は、前年同期比で10・8%増だった◇2回にわたり計7399億元の金融ツールの支援を受けた2700余りのプロジェクトで全て建設が始まった――などで、昨年第1~3四半期に全国で新たに増えた市場参入者は2201万6000社で、前年同期比で3・1%増だった。市場参入者を守ることは社会の生産力を守ることであり、中国経済の安定回復と向上の基礎は絶えず強化されている。 


海南省海口市で昨年7月に開かれた第2回中国国際消費財博覧会には、内外から2800以上のブランドが出展。テーマフォーラムやビジネス・マッチングなど数百のイベントが行われ、総来場者数は28万人以上となった(新華社)

 中央財経委員会弁公室の韓文秀副主任は中国経済について、昨年の経済成長は初期目標との間にギャップはあるものの、その他の多くの指標はいずれも比較的良好に達成されており、昨年の経済規模は120兆元を超える見通し――と分析した。 

 昨年の全国貧困脱却県における一人当たりの可処分所得の実質増は、全国の平均水準を上回り、システマティックや大規模な貧困への逆戻りは起こらなかった。雇用情勢も全体的に安定し、産業の高度化も積極的な進展があった。新エネルギー車の生産販売数と輸出台数は、いずれも世界第1位だった。特に新エネルギー車の輸出は70万台に達し、前年の2倍以上に増えた。中国が研究開発した大型旅客機C919は、累計400機を上回る発注があった。食糧生産量は8年連続で6億5000万㌧超、国の外貨準備高は3兆㌦以上を維持している。四十数年ぶりに世界的なインフレを記録した中で、中国の物価水準は安定を維持し、消費者物価指数は2%程度の上昇で、食糧とエネルギーは保障され、人々の生活も全て効果的に守られた。 

 今や中国は、世界で最も完全な産業体系と最大の消費市場、および2億2000万人の人材資源を抱えており、歴史上どの時期よりも強固な物質的基礎を築いている。これらは中国経済が衝撃に対応する堅固な土台を形作っている。まさに習総書記が言う通り、「中国経済は海であり、小さな池ではない」「荒れ狂う雨風に小さな池はあふれてしまうが、海をひっくり返すことはできない」。 

 中国経済が長年にわたる努力により獲得した成果に基づき、習総書記は会議で、「困難がないときがあっただろうか。一つ一つ乗り越え、一年一年乗り越え、一年一年良くなり、中華民族は5000年以上こうしてきた。前途は多難であるが、大切なのは強く自信を持つことだ」と感慨深げに語った。 

 今年の中国経済はどう成長 

 会議は、今年の中国経済の成長は多くの困難と試練に直面すると指摘。感染症の予防・抑制と経済・社会の発展をより良く統一的に計画◇経済の質の効率的な向上と量の適正な増加をより良く統一的に計画◇サプライサイド構造改革と内需拡大をより良く統一的に計画◇経済政策とその他の政策をより良く統一的に計画◇国内循環と国際循環をより良く統一的に計画◇現在と長期をより良く統一的に計画――することが必要だと示した。 

 これに対し、中国人民政治協商会議全国委員会の常務委員で財政部管理会計諮問専門家の張連起氏は、今回の会議で打ち出されたこの「六つの統一的に計画」は、中央政府が体系的に考えることを堅持し、従来からの正しいやり方を守って革新を行い、中国の経済成長の複数の目標について動的バランスを実現する意志を表したと考える。また複数の経済専門家も、今回の中央経済活動会議は統一的に計画することを非常に重視し、各種政策の協調・連携を強化し、質の高い成長を共に促進するシナジー(相乗効果)の形成を強調したことが、会議のはっきりとした特徴であると述べた。 

 世界第2位の経済大国の中国では、経済の安定運営の維持が極めて重要な位置を占める。具体的にどうするか。会議は以下11項目の措置を挙げた。①成長・雇用・物価の安定に力を入れ、経済の動きが適正な範囲内にあるように維持する②市場参入者のニーズに関する施策を重視して政策の実施方法を改善し、適時性と的確性を高める③改革を揺るぎなく深化させ、市場の活力と社会の創造力をより活性化させる④市場の法則を尊重し、行政の簡素化と権限移譲、開放と監督の結合を深化させ、サービス改革を向上させ、各種所有制の企業を平等に扱う⑤実体経済の成長に力を入れ、革新によって成長の新エネルギーを育成・強化する⑥従来産業の改造・高度化を推進し、戦略的な新興産業と現代的サービス業の発展を支援し、大衆による起業とイノベーションの深化を促進し、社会の革新・創造の潜在力を最大限に発揮させる⑦国内市場の潜在力を十分に掘り起こし、内需の経済成長に対する促進効果を高める⑧経済成長と暮らしの急務を巡り、ぜい弱部分を補強する重要プロジェクトの建設を推進し、住民の消費を妨げるマイナス要素の解消に力を入れる⑨金融・地方債務のリスクの予防・管理を強化し、システマティックなリスクを発生させない最低ラインを守る⑩貿易規模の安定化と構造の適正化をより強力に推進し、外資保有量の安定化と拡大をより強力に促進し、国際的な経済・貿易協力の新たな成長点を育てる⑪基本的な公共サービスを強化し、基本的な暮らしのボトムラインをしっかり守り、多様な供給を増やすために社会の力を支援し、導き、暮らしの幸福度を増進し続ける。 

 中国政策科学研究会経済政策委員会の徐洪才副主任は、上述の措置は、今年中国が財政・金融・産業および科学技術の人材・社会保障などの面でマクロ政策のコントロールを強め、成長・雇用・物価の安定の実現を保障することを意味している――と見る。 

 今回の会議では、もう一つ重要なシグナルが発せられ、社会の幅広い関心を集めた。それは、デジタル経済の発展に大きく力を入れ、恒常化した監督・管理のレベルを高め、プラットフォーム企業による発展のけん引・雇用の創出・国際競争での活躍――を支援することだ。 

 清華大学インターネット管理研究センターの李暁東主任は、「デジタル経済は、中国がダブルカーボン目標(2030年の二酸化炭素排出量ピークアウトと2060年のカーボンニュートラル)の下で民族の復興を追求する必然の選択で、3年にわたる感染症の流行により、中央政府から地方までデジタル経済の役割を全面的に認識した」と語る。また北京市政治協商会議経済委員会の李志起副主任は、以下のように考えた。「今年、中国の大学など高等教育機関の卒業生は1158万人に達する見通しで、その雇用圧力はかつてないほどだ。だが、デジタル経済とプラットフォーム企業が創出する新たな雇用形態は、こうした大卒者や青年層の就職の大きな流れであり、また農民工や比較的スキルの低い人々の雇用実現にも重要な受け皿を提供。雇用確保の重要な分野となっている」 


昨年2月2日(中国の旧暦の新年2日目)、上海港の洋山港湾区では、明かりがこうこうと照らす中、何隻もの大型コンテナ貨物船が積み込み作業を行っていた(vcg)

 中国経済は世界に何をもたらすか 

 会議では、外資の導入と利用により大きな力を入れることが指摘された。外資系企業の内国民待遇をしっかり実現し、外資系企業の政府調達・入札・規格設定への法の下での平等な参加を保障し、知的財産権と外資系企業の合法的権益の保護をさらに強化する必要がある。また会議は、外資系企業が訪中し貿易・投資の商談を行うために、最大限の便宜を提供することを強調した。 

 中国は近年、国内の(経済)大循環を主体に、国内と海外の二つの循環が相互に促進する新たな成長の枠組みの構築を加速している。昨年、全国統一大市場の建設を加速し、独占禁止法の改正を終え、新版「外国企業投資奨励産業リスト」を公布・実施。中国国際消費財博覧会(7月)、中国輸出入商品交易会(広州交易会、4、10月)、中国国際サービス貿易交易会(9月)、中国国際輸入博覧会(輸入博、11月)の4大国際博覧会が相次ぎ開催された。中でも5回目となる輸入博は、中国が構築した新たな発展構造の窓口、ハイレベルな開放を推進するプラットフォーム、世界が共有する国際的な公共財となっている。中国の対外開放のドアはますます大きく開かれ、中国市場の魅力はますます高まっている。現在、中国はすでに世界140以上の国と地域の主要な貿易相手国となっている。 

 同時に中国は、自由貿易試験区や海南自由貿易港の建設推進を加速し、質の高い「一帯一路」共同建設を進め、外資系企業の投資を奨励する範囲はさらに拡大している。ハイレベルな開放を進める中国は、国内循環と国際循環が相互に促進し合い、補完効果を発揮している。 

 中国税関総署によると、21年の中国貿易は、感染症の打撃を受けたにもかかわらず、輸出入総額は一挙に6兆㌦の過去最高を記録し、伸び率は21・2%と大幅に上昇した。また、昨年1~11月の中国貿易は8・6%の成長率を実現。貿易黒字は5兆3300億元に達し、前年同期と比べ42・8%増え、対GDP(国内総生産)の寄与率は30%以上だった。昨年1~10月間に、ドイツBMWグループの瀋陽・里達工場が操業を開始し、デンマークのノボノルディスク・バイオ製薬会社が天津で8回目の増資と生産拡大を行い、日本のパナソニックグループは、コールドチェーン設備の生産・販売など多くの業務分野を中国に移転した。この間、中国が実際に使った外資額は前年同期と比べ14・4%増えた。 

 世界銀行の発表では、世界の主要な経済大国の2013~21年の世界経済の成長に対する平均寄与率を見ると、中国は38・6%とG7(主要7カ国)の寄与率の合計を上回った。習主席は昨年11月、APEC(アジア太平洋経済協力会議)のビジネスリーダーサミットに出席し、書面による基調演説を発表した。習主席は、「企業家は短期的な悲観主義者であると同時に長期的な楽観主義者でもある」という言葉を引用した。 

 現在、中国の経済成長は圧力と試練に直面しているが、中国が提唱する協力とウインウインの成長理念とハイレベルな開放という成長構造の構築、さらに中国経済の強じんさと活力を考えると、世界の企業家は中国経済という大型船に乗るメリットを信じているだろう。 

 「人民中国インターネット版」2023年2月8日