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japanese.china.org.cn |17. 06. 2023 |
中国の自動車輸出台数、日本抜き初めて世界一に
山東省煙台港の自動車積み出し埠頭(ふとう)で船積みを待つ車両。(1月18日、小型無人機から、煙台=新華社記者/朱崢)
中国の自動車輸出台数は2023年第1四半期(1~3月)に107万台となり、初めて日本を抜き世界一の自動車輸出国となった。中国汽車工業協会(CAAM)の統計によると、自動車輸出台数は20年に108万2千台、21年に201万5千台となり、22年には311万1千台に達しており、爆発的な伸びを示している。
この伸びは、新エネルギー車(NEV)輸出台数の大幅な増加によるところが大きい。昨年からの地政学的な対立、エネルギー価格の高騰など複数の要因により、海外の自動車市場は供給側、消費側ともに疲弊が見えている。これに対し中国の自動車市場は、生産能力が高く在庫があり、新エネルギー技術が成熟していることから、世界の自動車市場の重要なけん引力となっている。中国自動車大手、北京汽車集団の関係者によると、長年にわたる市場開拓を通じて、中国の新エネ車はデザイン、製造の面で比較的大幅に高度化され、外観やスペース、動力などの面で比較的高い競争力を有する。さらにここ数年、国内の自動車メーカーは電動化とインテリジェントネットワーク接続のテンポを速め、海外の多くの消費者に製品が認められているという。
また、人工知能(AI)技術の応用は、中国の新エネ車にさらなるチャンスをもたらしている。AI技術は、新エネ車の自動運転、車両診断、メンテナンス、電源管理、充電システムに幅広く応用でき、新エネ車のスマート化レベルを向上させ、従来のガソリン車をしのぐ運転快適性につながる。
現在、ますます多くの中国自動車メーカーが新エネルギーとスマート化への転換のチャンスをつかみ取り、世界自動車産業競争で「カーブでの追い越し」を実現することを目指している。国産車の代表的ブランド、比亜迪(BYD)は22年、乗用車の輸出台数が前年比約4倍の5万5916台となった。その成功は国産車の台頭を一定程度映し出している。自動車メーカー、長城汽車の董事会秘書、李紅栓(り・こうせん)氏は、中国の自動車全体の輸出量急増は、新エネルギー産業に新たなチャンスをもたらしたと述べた。同社は、新エネ車を海外販売の成長分野と位置付け、各国・地域の市場、産業政策と組み合わせ、差別化した布陣を行っている。新興電気自動車(EV)メーカー、哪吒汽車(Neta)の関係者によると、同社は今年、海外進出を加速し、市場開拓を強化、タイなどの市場では販売台数がトップクラスとなっており、マレーシアなどでは新車種を投入している。自動車メーカー、上汽通用五菱汽車のブランド・公報ディレクター、張益勤(ちょう・えききん)氏も、五菱新能源はグローバルな戦略的配置を拡大し、新エネルギーシステムを迅速に推進して世界進出すると述べた。
名古屋大学の野辺継男客員教授は、中国のEVメーカーがエネルギーの路線転換でリードしている主な原因について、次の4点を挙げた。第一に、中国は約20年前に自動車大国になる目標をトップダウンで掲げ、エンジン分野で日米欧などの先進国に追い付き追い越すことを選ばず、早くからEV分野に着目した。第二に、中国は政策の最適化を続け、外資の自動車メーカーが中国国内で生産するよう誘致、外国ブランドのスマートEVのコンセプト、モデルを参考に学んだ。第三に、車載電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)などの中国企業は、早くから駆動用バッテリーなどの部品製造に布石を打っており、EV産業クラスターを形成している。第四に、中国の巨大な市場規模も、EV産業の発展にとって顕著な強みとなっている。
ドイツの著名な自動車専門家、フェルディナンド・デューデンホッファー氏はこのほど、自動車産業が新エネルギーへ転換する過程で、中国は欠くことのできない重要な力だと指摘。車載電池から自動車用ソフトウエア、チップなど多くの分野で、中国企業の技術は世界の先端を行っており、欧州の自動車メーカーは中国企業から学び、中欧双方が協力して努力しなければウィンウィンは実現できないと述べた。4月に開かれた第20回上海国際自動車工業展覧会(上海国際モーターショー)で、トヨタ自動車の中嶋裕樹副社長は、EV開発の近道は中国現地で開発することで、中国メーカーから謙虚に学ぶことが必要だとの考えを示した。
新華網日本語版 2023年6月17日