南京大虐殺などの問題について、同書はどのように記述しているか。
歩氏:まずある状況について説明したい。日本では、南京大虐殺の研究者を「大虐殺派」、「虚構派」、「少数派」に分類する人がいる。同書の編集に参加した日本の研究者・笠原十九司氏は、南京大虐殺を研究する日本の著名な学者で、「大虐殺派」の「参謀長」と呼ばれる。「前総司令官」と呼ばれた洞富雄氏、「総司令官」と呼ばれた藤原彰氏がすでに死去したため、今は笠原氏が中心的な学者になったといえる。南京大虐殺の(犠牲者の)人数について、笠原氏の研究著作では常に20万人、つまり東京裁判で使用されたデータを採用している。
日本の右翼はいわゆる「虚構派」で、南京大虐殺があったことを認めていないが、われわれは確かな証拠のある事実だと考えている。この問題については、われわれと日本から共同編集に参加した研究者との立場は同じだ。正確な人数については、まだ踏み込んだ実証研究が必要であり、差があるのは不思議ではない。このため、われわれの本の中には、大虐殺の元凶の1人、谷寿夫に対する南京の裁判で示された数字と、東京裁判で示された数字を併記している。
私はなお、歴史現象は複雑で多くの視点・角度から観察することが必要だと強調したい。南京大虐殺記念館には確かに「30万」と大書してあるが、これは日本の侵略者による残虐行為の象徴だ。
――日本からのゲスト(梅田氏)に質問したい。出版社が同書を出版するときに、何か懸念することはあったか。どのような方面から出版を考慮したのか。
梅田氏:同書を出版する話は昨夏にあった。実を言うと躊躇したこともあった。主な理由は、当社は規模が小さいため、こうした重要な活動を担うだけの力がないことが心配だったからだ。また、社会からの反応を自分が受け止められるかどうかも心配だった。しかし、このような重要な歴史書は、結局は誰かが出版しなければならないので、ようやく最後に決心がついた。
私は、同書が中国で多くの人に読まれることを願う。また、同書が相互交流と理解を促進するよう願う。同書の出版により、多くの日本の読者が中国を理解し、中国の近代史を理解するだろう。同じように、私も、中国の読者が同書を通して日本の民衆の歴史を理解することを願う。
「人民網日本語版」2005年6月10日