秦始皇帝陵で大規模な「群葬坑」が見つかった。坑内に埋葬されていた数十名は始皇帝陵専属のレンガを焼成する職人の可能性があると推定される。このように大規模な「群葬坑」が陵墓で発見されたのは、今回が初めて。「群葬坑」は秦兵馬俑博物館正門から東北に数百メートルのところで発見。深さは約12、3メートル。坑底には7、8体の遺骨が散乱していた。骨格は大きく、仰向けや湾曲した状態の遺骨が重なっていたことから、当時、非常に残忍な形で坑内に投げ入れられたのではないかと想像される。地元の人によると、これらは第4地層のもので、第1層ではこれまでに2、30体の遺骨が発見されたという。
また「群葬坑」に近い東側で秦代の陶窯跡が2ヵ所で発掘された。始皇帝陵でこれまでに発見されたなかでは保存状態が最も良い。
陵墓内には数多くの宮殿や付属建築物が多いため、膨大な量のレンガが必要で、付近に大量の陶窯があると考えられていたが、残念なことに多くはすでに破壊され、考古学者は当時の始皇帝陵にあった窯場の規模や生産状況については把握できないでいた。今回見つかった2ヵ所の窯跡は保存状態が極めて良く、秦代の陶窯や陵墓内の工房を研究するうえで非常に重要な資料となる。こうした状況から推測すると、「群葬坑」内の遺骨は秦始皇帝陵専属の陶工だったと見られるが、地元住民が足かせや手かせを掛けられた遺骨もあったと話していることから、受刑者の可能性もある。これは製陶の工房で夫役(ぶやく・領主が領民に課した労役)の職人のほか、数多くの受刑者が使われていたことを物語るものだ。考古作業は現在も進められており、全体像はまだはっきりしていないが、この陶窯が兵馬俑を焼成したものでないことは断定できる。
「チャイナネット」2003年4月2日