新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルス不活性化ワクチンの研究が、19日から人を対象とする臨床実験の第1段階に入った。ボランティア30人が参加する臨床実験がまもなく行われる。世界に先駆けての実験スタートとなるが、商品化までにはまだしばらく時間がかかる見込み。
国家食品薬品監督管理局の鄭篠ユ局長は「アカゲザルの実験をはじめとする動物実験の結果では、ワクチン投与による異常は見られなかった。またこれまでの各国の不活性化ワクチン使用例も、このワクチンにある程度の安全性があることを示している」と説明する一方、「開発が段階的成功を収めても、さらに厳しい臨床実験と安全性の評価をクリアしなければならない」と指摘。今後は臨床試験の第1段階の進行状況に基いて、第2段階・第3段階の準備を進めていくという。
不活性化ワクチンは、ウイルスを殺して感染力を失わせた上で人体に投与した場合、感染を引き起こさずに体内に抗体を作らせることができる。これにより、ウイルスの侵入を防ぐことができる。これまでの研究で、化学的・物理的方法や加熱処理方法を利用すれば、ウイルスの感染力を失わせる一方で、人体の免疫反応を起こさせることができると分かっている。こうした現象を利用して製造されるワクチンは、「不活性化ワクチン」と呼ばれる。
「人民網日本語版」2004年1月20日