盛夏の頃、日本の繁華な大都市では、浴衣を着ている若者たちが暑気を払い、ショッピングしたり、遊んだりしている。にぎやかな地下鉄で、きれいな和服とビジネスマンの黒い洋服との対比は、ユニークな風景となっている。
これを目にした私は、日本の伝統的な文化の生命力に感心した。日本は世界第二の経済強国であるが、超高層ビルは伝統と現代の間の厚い障壁とはならず、ネオンサインは歴史と現代の絆を遮断しなかった。日本の人々は近代の文明を楽しむとともに、民族の伝統的な文化を依然として大切にしている。
伝統的な和服の着付はかなり面倒なのだが、それでも日本人は和服を好んだ。レジャーにしても、正式な場にしても和服を着る。退職したばかりの元参議院議長の扇千景女史は外賓との会見やさまざまなイベント、ひいては外国訪問の際にもよく和服を着ていた。観光客の和服着用を奨励するために、歴史的雰囲気のある観光名所では、優待チケットを提供している。
伝統的な住宅も日本の人々に好まれている。日本のアパートには、畳がある和室も設置されている。数多くのホテルは洋室と和室の両方を提供している。ちなみに、和室の価格はより高い。松下という会社が将来の日本人向けにデザインしたデジタル・インテリジェントルームにも、畳付きの和室がある。
日本の各地では、一年を通して宗教や民族的な記念イベントを催している。このことから、伝統文化保護を日本人が重視していることがわかる。共同社が出版する年間の大事概要には、毎日のように祭事がある。これらの儀式や祭事では、古い時代とそっくりの道具、服装、儀杖、プロセスを目にすることができる。
東京の街を歩いていると、走行する車の流れと江戸時代の趣きがある服を着て行列している人々に出会うことがある。異なる時代のものがここで交差しあい、国際大都市としての東京の内包力を示している。
毎年催される浅草寺のちょうちん市場、入谷アサガオロードは、江戸時代の風習がこれまで続いてきたものである。めったに交通規制をしない東京の警察でも、このような催しのためには道路を封鎖する。
「日本人の心のふるさと」と呼ばれる京都では、日本の観光客が茶道や華道に行くのは、観光だけではなく、真剣に学ぼうという尊敬と興奮の気持ちで伝統文化と触れあう人もいる。
このように重視された結果、伝統文化は今まで完全に保存されてきた。経済の実力を筋肉と、社会的繁栄を衣服としたら、伝統的文化は血であり、魂である。日本人はこのことをよく知っているようである。
「チャイナネット」 2007年9月25日