2002年ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが『七人の侍』のリメイク権を獲得してから最早五年が経つ。ほとんど伝説となりかけていたこの映画について、新たな情報がでてきた。
以前、リメイク版『七人の侍』は、来年6月ハリウッドのストライキ前には撮影を終える予定だという情報があった。しかし現時点でもこの映画についての情報は全くベールに包まれたままだ。ところが先日、アメリカの映画評論家ジェレミー・スミスが脚本に目を通し、その内容について語ったところによると、このリメイク版『七人の侍』の内容は日本とは全く関係のないものとなり、チャン・ツィイー、ジョージ・クルーニー、ドニー・イェン(香港の著名なアクション俳優)らが演じるキャラクターについては、ほぼ確定しているという。
“サムライ”たちは世界各地から
チャン・ツィイー、ジョージ・クルーニーなどの異なる国のスターをどうやって一つの映画の中に矛盾なく出演させるのだろうか?ジェレミーの言うには、このリメイク版は、1954年に黒澤明監督によって作られた名作『七人の侍』をもとにしたものではあるが、そこはリメイク版。もはや本来の『七人の侍』とは全く異なるものになっている。物語の舞台となるのは、東南アジアのゴールデントライアングル(メコン川を境にミャンマー、ラオス、タイが国境を接している地域)。七人の“サムライ”もアメリカ・イギリス・アフリカ・ジャマイカなどの世界各地からやって来る。これは明らかに世界各国での興行成績アップを見込んだものだろう。
リメイク版『七人の侍』の脚本を手がけるのはジョン・フスコ。彼の最新作はジャッキー・チェンとジェット・リーが夢の共演を果たす『功夫之王』(原題)。
さて話を戻して、このリメイク版のストーリーはというと、…麻薬密売を手がける悪者クーン・ラオに対抗するために、村の娘タナシーが“サムライ”を集めに行く。途中数々の困難に遭いながらもアメリカ人チャーリーを筆頭にした“七人のサムライ”が、最後には村人と力を合わせてクーン・ラオを村から追い出すというもの。
それにつけても、このリメイク版には不安の影がつきまとう。もちろん、あれほど有名な作品のリメイク版であるだけにその利点も多い。例えば宣伝の際に話題には困らない。しかしその分、比較されることも避けられないだろう。前評判が悪ければ興行成績にも影響を及ぼす。また、この映画は国際的ヒットを狙っているようだが、製作の際避けては通れない日本特有の「武士道」の世界は、一部のアクション映画ファンのアメリカ人観客を“喜ばせる”ことは可能かもしれないが、それ以外の世界各地の映画ファンに真に理解されるだろうか。
チャン・ツィイーは何役を演じるのか?
ジェレミーは今回具体的にキャスティングを明らかにしなかったが、“サムライ”のリーダー格はジョージ・クルーニー演じるアメリカ人チャーリー、そして麻薬密売の首領クーン・ラオにはドニー・イェン。そして注目のチャン・ツィイーはといえば、これまでの噂とは全く異なり、黒澤版『七人の侍』での「志乃」役に当たるタナシーを演じるようだ。映画ファンの予想によれば、タナシーを演じる役者はチャン・ツィイー以外にはありえなく、しかもこの役は八割方男装だろうという。タナシーは「可愛らしく神秘的」な女性らしい。
しかし注目に値するのは、これまでの情報によればチャン・ツィイーがリメイク版『七人の侍』に出演するのは間違いないとのことであったが、今回のジェレミーの情報によると、チャン・ツィイーはまだ交渉段階に在り、最終的な契約には至っていないということである。
ところで、ストーリーの舞台は現代であるため、アクションシーンでは大量の火薬類といった武器を使う。どうやら、今回チャン・ツィイーにはアクションの見せ場はないようだ。どうやら、ワインスタインは、彼女を第二の“ミラ・ジョヴォヴィッチ”に仕立てるつもりはないらしい。彼女が刀剣などの腕前を振るわないことについて、ファンは非常に残念がっている。「チャン・ツィイーがアクション・シーンを演じないなんて、もったいなさすぎる!」
「チャイナネット」2007年10月11日