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japanese.china.org.cn |14. 08. 2023 |
Z世代の新型の社交スタイル――「搭子」募集中
中国では最近、「搭子」(中国語の発音:ダズ)という新しい人付き合いのスタイルが広がっている。「特定の趣味や目的に限ってつながる手軽な仲間」を指す。例えば、「メシ友」=一緒に食事をする人、「勉友」=一緒に図書館で勉強する人、「ライブ友」=一緒にライブを見に行く人などがあり、そのほかに「カフェ友」「散策友」「推し友」など様々なものが存在する。
このような関係は「友」と呼ばれるが、実は「友達」の「とも」とは異なり、「共」(とも)に何かをするという関係と言う方がより的確だろう。自分の趣味やニーズを文字で編集し、ネット上にアップロードし、「このような人に来てもらう」ために、ビッグデータ技術を活用し、ふさわしい相手を待つ。最大のメリットは効率化と言える。
人間は立体的で、多面体のような存在であるため、好きなことも人によってさまざまで、親友でも100%呼吸を合わせることはできないと思う。そのような時、「搭子」の必要性が出てくる。関係の深さで見れば、「搭子」は同期・同僚以上、友達未満という微妙な状態にある。
なぜこのような社交スタイルが生まれたのかというと、理由は二つあると思う。一つは、現在の社会において、伝統的な「恋愛・友人・家族」の三種類のような依存関係は若者の情緒的ニーズを十分に満たすことができない。確かに、私たちはこの三つの関係から長く、安定し、かつ強力な情緒的の価値を得ることができる。しかし、現代の都市社会では、これらの固定的な関係は多くの客観的な条件に制限されることも少なくないだろう。特に大都市で働く若者にとって、両親は遠く離れた故郷におり、友人はそれぞれ忙しく、恋愛はなおさら珍しい。仕方なく単独行動をとるZ世代が増えている。しかし、人間は生まれつき社会的動物であるため、他人との付き合いは必要で、社交活動からエネルギーを得ることも多いだろう。一人で行動するより、みんなで集まってする方が楽しみが倍増することもある。特にライブや、集団的なイベントのようなにぎやかな時がそうである。
もう一つは、「搭子」探しのパターンは友達作りのコストを大幅に削減することができ、また、この社交スタイルはビッグデータ技術の発展に伴う情報化時代における必然的な勢いとも考えられる。深い関係の構築・維持には時間と愛情が必要だが、「搭子」はそうではない。期間限定の友達のような相手として、数時間・数日以内、あるいは特定の活動時間だけで付き合えたらそれで十分だ。それ以外の時は互いに干渉せず、距離感を保ち、自分の生活ペースに戻ることができる。このような関係は互いに必要な時に助け合い、精神的に余計な負担を感じないで済む。これは、今の若者が社交に対してより開放的で包容的な心を持っていることを示している。彼らは相手に対する要求を下げ、小さいコストの社交方式を主張し、好きなように付き合う。二人の相性が合わなければ強要せず、自分の心の中の実感を尊重し、貴重な境界感を持っている。いろいろな相手と付き合っていくうちに、若者はよりオープンマインドで社交範囲を広げ、より多くの可能性を探る。気の合う相手と出会えれば、もちろん親友になれる。
しかし、募集中に注意すべき点もたくさんある。まずは、ネットでの社交の安全問題である。また、「搭子」と言われても、合わない場合も少なくない。ネット技術で実現できるのは客観的な検索条件で相手を探すことだけで、例えば、「メシ友」はただ一緒に食事をする相手を探す。しかし、注文したい料理が同じかどうか、好みが合うかどうかは完全に主観的な基準だと思う。合わない場合は「搭子」探しの本来の目的と大きく異なってくるだろう。そのため、こだわりがちょっと強い私はこのようなリスクを避けるため、時々やはり単独行動のほうがましである。
このような新しいコミュニケーションに対し、「機能性」を強調しすぎた「ファーストフードコミュニケーション」は、社会的感情の低下を意味するのではないかと懸念する声も出ている。親密な関係の構築は、生活の中に現れるいくつかの「搭子」と矛盾しないと考えている。「搭子」は固定関係に対する有益な補足で、人のソーシャルネットワークはもともと多様なものである。「搭子」は普通のクラスメート(同僚)関係と友人関係の間の微妙な均衡点に位置すると思う。
ちなみに、Z世代が「搭子」探しをするもう一つの目的に、割り勘、割引、2杯目半額といった現実的要素もある。やはり、お金を節約したいのである(笑)
文・鄒遠卓 北京師範大学日本文学修士
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年8月10日