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中国の高校生が見た日本(三)

中国の高校生は日本の外務省で、塩崎恭久官房長官(右)に書の作品を贈った

相手の身になって考える

2006年9月からは、初めての中長期滞在の中国の高校生32人が、日本での留学生活を始めた。この高校生たちはすべて、中国の外国語学校から選ばれ、ある程度の日本語の基礎を身につけている。留学先は日本の14の府県にある16の高校。期間は3カ月から1年間。


 于暠君と朱虹さんが留学したのは千葉県君津市にある千葉国際高等学校である。期間は1年間。于君は山東省済南市から、朱さんは江蘇省蘇州市からやってきた。勉強が大変なのはもちろんだが、両親から離れて自立して生活をしなければならない。そんな2人に、学校側はいろいろと面倒をみてくれる。その心遣いに二人は心温まるものを感じた。


 2人の世話をしているのは蓮間輝道先生。日本のことをもっとよく知ってもらおうと、2人を連れて東京や横浜などへ連れて行った。横浜の中華街には、中国各地の料理がそろっている。于君は久しぶり故郷の料理である山東料理を食べて、感激した。


 夏休みが来ると、学校側は2人のために、ホームステイの手配をした。于君のホストファミリーには2人の男の子がいた。日本の家庭の親子関係をみて于君は「まるで友だち同士のようだ」と感じた。「中国の父親のイメージは大変厳しいので、日本とはまったく違います。こうした中国と日本の違いは、ほかにもたくさんあります。そういうことが、留学生活の中でだんだんと分かってきました」と于君は言った。

千葉国際高校で授業を受ける朱虹さん(左手前)と于暠君(左後方)

 一方、留学生がホストファミリーに影響を与えることもある。于君はホストファミリーで朝食を食べているとき、お母さんがこう言った。「于君とのお付き合いを通して、中国のことが分かるようになったと、下の息子が言っています」


 これを聞いて于君は非常にうれしかった。「いっしょに暮らし、なんでも話し合い、なんの隠しごともない。僕はこのホストファミリーを通して、普通の日本人の本当の生活が分かりました。ホストファミリーの皆さんも私を通して、普通の中国人とはどんな人間かを知ることができたと思います。これこそ『心と心の交流』でしょう」と于君は言った。


 日本に留学して数カ月、于君は、自分のものの考え方が次第に変化してきたと感じている。それは、問題にぶつかったとき、相手の立場に立って考えることができるようになったことである。中日両国の間には、物事の認識に多くの違いがあるが、相手の身になって考えさえすれば、相互に理解し合い、意思を疎通することができる、と于君は考えている。 
「人民中国」より
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