昨年の初冬、北方の新疆ウイグル自治区や内蒙古自治区、黄土高原の土砂を巻き上げた砂あらしが西から東へ、内蒙古自治区、東北地区、華北地区を経て、山東、江蘇、浙江と福建まで飛んできた。砂あらしが通り過ぎた地域は空が暗くなり、人々はさんざんな目に合わされることになった。その実、その四日前に、中国科学院大気物理研究所の学者たちはその砂あらしの全通過コースをシミュレーションしていたのである。「奇異な眼」のようなシステムを利用して、砂あらしの発生から移動に至るまでの全コースがはっきりと見てとることができるのである。2002年11月7日3時にタクラマカン砂漠と陜西省の南部で砂あらしの源が形成、6時に新疆の南と黄土高原の西へと広がり……。3時間ごとに一回の予報が10日の24時まで続けられた。その時には、砂あらしはすでに長江の北側のほとんどの地域を覆っていた。シミュレーションの結果は実際の状況と一致していた。
このシステムは「格子積み重ね式の空気質予報システム」と呼ばれている。関心を寄せる度合いによって、荒目の格子と細目の格子を施すことになっている。格子積み重ね式とは、荒目の格子と細目の格子が重なり合うという意味。このシステムを通じて、砂あらしの起こる源やその強さ、粒の大きさ、移動コース、成分の変化、その動きの時系列データなどの詳しい状況が分かることになっている。これまでは衛星からの画像によって砂あらしの動きを観測する以外になかったので、1日前にならないと、予報はできなかった。そのため、このシステムは砂あらしが襲来する前に、政府機関や一般の人々にさらに多くの準備の時間を与えてくれることになった。
このシステムはなぜこのように砂あらしを正確に予報できるのか。同研究所の科学者の話によると、これは砂あらしの発生原因やその長距離移動に関する研究のおかげだという。砂あらしの発生の条件は、砂の地理的分布と地元の気象条件によって決まる。砂の分布は時間とそれほど関係はない。風、温度、気候状況(たとえば寒冷前線がその地域を通過するなど)と地面の積雪の厚さが気象パターンの最も大切な要素となる。気象パターンによって地元の気象状況を4、5日間繰り上げて計算することができるのである。さらに砂が形成する原因によって砂あらしが発生するかどうか、どこから起こるのか、その強さなどいろいろなことを判断することができる。計算の結果にもとづいて砂あらしの移動パターン、さらには砂あらしの移動コース、到達時間などが計算されるわけである。こうして砂あらしがいつ、どこに飛来するのかをシステムを通じてはっきりと見て取れるわけである。
伝えられるところによると、このシステムは近いうちに砂あらしの予報に利用され、将来その予報の目玉となる見込みだという。
「チャイナネット」2003年2月10日