西蔵（チベット）自治区は面積約120万平方キロ、平均海抜は4千メートル以上で、独特の自然生態環境と地理的環境が広がる。南アジア・東南アジアにとっては河川の水源地、生態の源でもある。また、中国だけでなく、東半球全体の気候を左右する「スイッチ」「調節区」としての役割を果たす。高山湿地は世界でも類を見ない独特のものだ。しかし、西蔵の生態環境は非常にもろく、一度破壊されると回復は難しい。

自然生態環境の保護に向け、自治区政府は1998年に「西蔵自治区自然保護区発展計画」を策定した。これまで整備された自然保護区には▽「世界の屋根」と呼ばれる珠穆朗瑪峰（チョモランマ）国家級自然保護区▽世界最大の陸上生態系が残る羌塘（チャンタン）国家級自然保護区▽世界最大・最深の峡谷である雅魯蔵布（ヤルツァンボ）大峡谷国家級自然保護区――など、自治区全体で38に上る。このうち国家級自然保護区は7カ所、自治区級は8カ所、地区級・県級が23カ所。保護区の総面積は40万7700平方キロ、自治区面積の34％に達し、比全国トップの割合だ。

自治区内の各クラス政府は、自然保護区内での経済開発など、人為的活動による影響を厳しく制限している。これにより、多くの保護区で生態環境が安定し、好循環に向かいつつある。関連部門のモニタリングによると、現在、動植物の生息数は目立って増え、野生動物の生息数はは30％以上増加した。長い間生存が確認できなかった貴重動物も、再び姿を現しつつある。雅魯蔵布江中流の河谷地域では、黒頸鶴自然保護区の設置後、越冬のため飛来する黒頸鶴の数が年々増加し、世界の黒頸鶴の約80％が集まるようになった。

昨年、西蔵の主要都市では黄砂の観測された日数が30年前より平均33日減少。「環境レベル世界最高の地」としての名声を守っている。

「人民網日本語版」2005年6月21日