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中国の計画出産事業を振り返る

 

ここ30年来、中国では計画出産が実行されてきたため、出生人口は合わせて3億3800万人減り、中国が11億の人口に達する日を4年間遅らせ、アジアが30億人口に達する日を3年間遅らせ、世界が50億人口に達する日を2年間、60億人口に達する日を4年間遅らせた。

人びとに幸福をもたらした計画出産事業

中国の改革・開放と建設事業の発展は、計画出産の実行に望ましい社会的、経済的環境を作り上げる一方で、計画出産の実行によっておさめた成果は、経済の持続的な伸び、国民の生活水準の向上、社会の全面的進歩のためにプラスとなる人口環境を作り出すことになった。

1、経済が発達していない状況の下で、人口の速すぎる増加を効果的に抑えた

中華人民共和国が成立してから1964年までの15年間に、中国の人口は5億から7億まで増加し、1億当たりの増加期間は7.5年であり、1964年から1974年までは、中国の人口が急速に増えた時期であり、ここ10年間に、人口は7億から9億まで増加し、1億当たりの増加期間は5年に短縮した。1973年から、中国は全国的範囲で計画出産を実行し、1973年から1995年2月までに中国の人口は9億から12億まで増え、1億当たりの増加期間は、また7年ぐらいにまで延びた。中国の現行の計画出産案と政策は人民の理解と支持を得ているため、中国の経済、社会の発展に伴って、人口出産率は絶えず低下し、人口増加の速すぎる勢いを効果的に抑えることになった。1970年と比べて、1999年の人口出生率は3.343%から1.523%まで下がり、人口の自然増加率は2.583%から0.877%まで下がり,婦人の総計出産率は5.81から2ぐらいまで下がり、これを長年定着させることになった。現在、中国の都市人口は低い出産、低い死亡、低い伸びという人口再生産パターンへの転換を実現したが、農村人口はまさにこのような転換過程に置かれている。

2、計画出産は人々の婚姻・出産および家庭に対する考え方の転換を促している。

中国が計画出産を実行してから、改革・開放と社会経済の発展に従って、人々の婚姻、出産、家庭に対する考え方にも大きな変化が現れ、それまでの「早く結婚し早く子を産む」、「子が多いほど福が多い」および「男尊女卑」などの伝統的な考え方は、だんだんと多くの出産適齢期の人たちに見捨てられ、「遅く結婚し遅く出産する」、「少なく産んで健康で優良な子を産む」、「男の子が生まれても、女の子が生まれても同じこと」、幸福で円満で、和やかな核家庭をつくり、現代的、科学的、文化的生活様式を追求することは、すでに食い止めることのできない時代の潮流になっている。女性の早婚の割合は下がり、初婚の平均年齢は大きくなっている。家庭の規模は次第に縮小し、核家族は現今の中国の家庭の主要な形態になっている。1994年までのところ、全国では合計4676万組の夫婦が1人の子を出産することを自ら志願し、既婚の出産適齢女子全体の20.3%を占めた。これらの変化は、人口の資質の向上にとってプラスとなるものである。

3、計画出産によって国民の生活の質が改善された

計画出産を実行することによって、人口の速過ぎる増加の経済、社会の発展などに対する制約および人々の衣食の生活、教育、就業、医療などに対するプレッシャーを緩和させ、国民生活の質を改善した。国家計画出産委員会の統計データに基づくと、1978年と比べ、全国の住民の消費水準は1978年の184元から1999年の2973元に増加し、都市部住民の一人当たりの生計収入は9倍増加し、平均して毎年15.5%逓増した。農家の1人当たりの純収入は8倍増加し、平均して毎年14.8%逓増した。中国の都市部の一人当たりの居住面積は3.6平方メートルから7.5平方メートルまでに、農村の1人当たりの居住面積は8.1平方メートルから20.8平方メートルまでにそれぞれ増加した。圧倒的多数の家庭の衣、食、住居などの基本的生活が満たされることになった。

4、計画出産は中国国民の全体的資質を向上させた

中国の計画出産は、人口数の抑制と人的資質の向上という二つの面を含むものである。人口数を合理的に抑えると同時に、中国政府は、教育、医療衛生など諸事業の発展を非常に重視し、人の資質をたえず高めてきた。1949年から1999年までの人口の平均予想寿命は35歳から70歳まで上昇し、そのうち、男子は69.36歳、女子は73.11歳となり、世界で平均寿命の向上が一番速い国の1つとなっている。婦人・児童の保健事業は絶えず発展している。現在、中国の都市と農村では計画出産と婦人・児童に対する保健サービスネットワークが基本的に形成されている。2000年の乳幼児死亡率は建国前の20%から3.22%にまで下がり、産婦の死亡率は53/10万となり、国民の衛生と健康面における主要な指標はすでに同じような経済発展水準にある国を上回り、先進国との格差は徐々に縮小している。

5、女性の地位がいっそう改善され、向上した

中国の女性は計画出産政策の実施によって、出産が多すぎることによるさまざまな負担から脱却し、彼女たちは積極的に公共の管理事務に参加し、政治、経済と社会生活など諸方面における平等をいちだんと実現した。調査によると、女性の就業者は総人数の46.6%を占め、世界の平均水準の34.5%を上回り、都市部の女性従業員は総人数の37.9%(1998年の数字)を占め、女性の就業率の向上は彼女たちの経済的地位を高めた。その他、政府機関で働いている女性は総人数の35%を占め、五〇年代の200倍近くである。計画出産によって女性は多くの教育を受ける機会を得ることになり、女性の教育的資質が高められ、女性の非識字者の割合は建国初期の90%から1998年の23%まで下がった。

  国の指導と大衆の自由意思とを結びつけ、科学技術の進歩に頼って生殖健康に関する良質なサービスを提供する。

中国は土地が広くて人口が多く、地域間、都市と農村との間、民族の間の違いが大きいため、計画出産を推進することは非常に複雑な仕事である。中国政府は国情に基づいて、人口と計画出産政策、人口抑制目標を制定する際、国の社会経済発展の必要と国の長期的利益を考慮に入れると同時に、異なった地域、異なった民族、異なった社会の各階層の実状および大衆の意思と受容能力を考慮に入れて、国の指導と大衆の自由意志とを結び付けることに努めている。

国の指導というのは、政府が経済、社会の発展戦略と目標に基づいて、人口計画と計画出産の方針と政策を制定し、出産適齢の人々のために、計画出産の情報、教育、技術サービスを提供し、彼らの事情を知った上での選択に便宜を提供し、合理的に彼らの計画出産を指導することであり、大衆の自由意思というのは、個人、夫婦が家庭の利益と集団の利益、国の利益とを結びつけて考慮し、自ら進んで国の政策と法規に基づいて自分の出産を計画することである。中国政府はいかなる形の強制命令にも断固として反対している。

計画出産の仕事の中で、各地では「三つのことを主とする」、つまり広報教育を主とし、避妊を主とし、経常的活動を主とすることを長期的に貫徹し、堅持している。農村の計画出産の仕事の中で「三つの結びつき」の原則、つまり経済発展との結びつき、農民を助け、豊かなの生活を送らせることとの結びつき、文明的で幸せな核家族を建設することとの結びつきを堅持することである。

1994年の国際人口および発展大会および1995年の世界女性会議が開かれた後、中国政府は積極的に公約を履行し、持続可能な発展を重要な戦略方針とし、人口抑制、資源節約、環境保護、女性の健康レベルの向上を主な位置に置き、人間の全面的発展を中心とし、女性の生殖健康を促すという指導方針を確立した。1995年から、国家計画出産委員会は一部の都市と農村で「優れたサービス」提供のテストを行い、成功をおさめ、現在、全国では600以上の県で優れたサービスを展開し、大きな影響を及ぼしている。

  計画出産の仕事において科学技術の進歩に頼って大衆に健全なサービスを提供することに力を入れている。現在、全国の20余りの計画出産科学研究院は、生殖、避妊、避妊に関する基礎研究およびいっそう安全で、効果的で、簡便な避妊薬と技術、方法の開発に取り組んでいる。約40ヵ所の避妊薬生産工場はその生産技術がたえず向上し、世界に進出し始めている。

同時に、広はんな出産適齢の人たちに必要なサービスを提供し、女性・児童の保健を強化し、数多くの女性と児童の健康レベルを高めるため、3000余りの女性・児童保健所、1万7000余りの総合病院の計画出産科、270の地区・市レベルの計画出産サービスセンター、3万3300の計画出産サービス・ステーションからなるサービス・ネットワークが都市と農村に散在し、出産適齢の人たちのために、異なった生理期における生殖、健康相談サービスを提供し、政府が1億8000万元の資金を出して740余りの貧困県に産婦人科治療機器、乳腺診断機器などの診断治療設備を配備し、その巡回診断カーは、辺鄙な地域の出産適齢期の人たちにいっそう優れたサービスを提供している。計画出産の仕事に従事している者は、末端に目を向け、農村に入り込み、サービスを提供し、大衆に便宜を図るという原則を堅持して、出産適齢期の人びとに指導、相談サービスを提供し、彼らを助けてそれぞれの健康状況と必要に基づいて、適当な避妊方法を選ばせ、人びとの間で大歓迎されている。

中国の特色のある総合的人口問題解決の道を模索する

人口学および計画出産に関する科学技術の研究を促進し、人口および計画出産政策の制定、仕事の実施における学者の役割を発揮するため、国家計画出産委員会は二つの専門家委員会を設置し、定期的に交流研究を行い、同時にさまざまな形で人口と計画出産の広報教育を行い、さまざまなメディアを通じて広報宣伝を行い、中央テレビ局および各地方テレビ局とラジオ放送局は定期的番組をつくり、情報を全国の都市と農村に流し、人口と計画出産に関する刊行物を40種類も出版し、国家クラス1、省クラス計画出産広報宣伝教育センター32および県・郷・村をカバーする末端広報教育指導サービスセンターを設置し、中学校・高校、各クラスの共産党・青年団組織あるいは幹部学校、団地の「人口学校」で広報教育を展開している。活発な広報教育は、人々の結婚に対する考え方を変え、計画出産政策を意識的に実行するうえで重要な役割を果たしている。ここ数年来、さまざまな形で計画出産、生殖健康の基礎知識と思春期教育に関する広報教育を強化した。

同時に、国家計画出産部門は人的資源の開発と高資質の計画出産関係スタッフの充実を重視し、20余年来、中国では40万人の計画出産関係スタッフが育っており、人口と計画出産の仕事を貫徹し、実施するうえでの重要な保証となっている。高資質のスタッフを育成し、人的資源をさらに開発するため、中国政府は、数年来学歴取得教育に力を入れ、ここ10年来、全国の百の大学、中等専門学校で人口と計画出産の学歴取得教育を行い、また10数校の大学に人口と計画出産関係の専科を設け、省クラスの計画出産部門と合同で人口専科を開設した大学も25校ある。在職育成も重視され、1994年から1996年にかけて、関連部門は全国の7万人の技術サービス・スタッフに対し統一的育成訓練、審査と資格の認定を行った。

中国は国際的交流と協力をきわめて重視している。特に1994年の国際人口および発展大会以降、中国は国連人口基金(UNFPA)、世界保健機関(WHO)の国際計画出産連合会、国際人口方案管理委員会、オーストラリア政府、ロックフェラー基金、日本家族計画国際協力財団などの機構との間でさまざまな方式を通じて生殖健康、計画出産結合プロジェクト、青少年生殖健康教育、応急避妊、男性参与などの面で行われた協力プロジェクトは、先進的な考え方、管理と技術の導入、仕事の全体的レベルの向上の面で建設的な役割を果たしている。同時に、中国は人口と計画出産に関する南南協力に関心を持ち、1977年に、人口と発展パートナー機構に加盟した。

 未来を展望し、改革と発展の中で完璧化を目指す

21世紀の到来によって、中国の人口と計画出産の事業は新しい重要な発展段階に入った。 これからの数十年においては、安定した低出産レベルを実現する上で、中国の人口は低増加から逐次ゼロ増加に移行し、人口総量がピーク値(16億近くになる)に達した後に緩やかに減り、人びとの資質は絶えず高められ、現代化と持続可能な発展を実現するためにいっそうプラスとなる条件をつくりだすことになろう。人口の基数が大きいため、これからの長い期間に、人口がなお持続的に増え、人口が多すぎることは依然として中国にとって最も重要な問題で、人口の資質が低い状況を短期間に根本的に変えることは難しく、就業の圧力がいっそう大きくなり、高齢化問題は更に深刻化し、人口と経済、社会、資源、環境との間の矛盾は依然として鋭いものとなろう。

今後10年間に、中国は人口と計画出産の目標を次のように制定している。2010年までに、全国の人口総数(香港、マカオ特別行政区と台湾省は含まれない)を14億人以下に抑え、年平均人口出生率が1.5%を上回らないこと、生まれた人口の資質が著しく高められ、生まれた赤ちゃんの性別比がよりバランスのとれたものになること、出産適齢期の人々が基本的生殖保健サービスを享有し、避妊法の事情を知った上での選択を普及すること、結婚についての新しい考え方と出産文化を初歩的に樹立、形成すること、調節コントロールが有力で、管理が効果的で、政策法規がよくそろっている計画出産保障体制と仕事のメカニズムを確立することなどがそれである。

「チャイナネット」 2001年7月20日