近年、中国はますます世界で注目されるようになっている。世界における一般の人たちの「中国のイメージ」はどういうものか。「中国のイメージ」について世界的範囲で統一的に調査が行われたのは今回が初めてである。先般、イギリスのBBCは世界的範囲に22ヵ国を対象に行われたアンケート調査の結果を発表した。その結果によると、この22ヵ国の人々の「中国イメージ」は良いものであった。アンケートの対象となった人々の間で、「中国は世界に積極的な影響を与えている」と答えた人の比率は、アメリカやロシアの「イメージ」に対する調査結果を上回るものとなった。
■「中国のイメージ」というアンケート調査の三つの内容
ユニバーサル輿論調査会社と米メリーランド大学傘下国際政策姿勢プロジェクトがBBC Worldの委託で共同で行った同調査は、世界五大陸の22ヵ国を対象にしたものであった。この22ヵ国はアメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、チリ、アルゼンチン、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポーランド、ロシア、オーストラリア、南アフリカ、トルコ、レバノン、インド、フィリピン、インドネシア、日本、韓国である。同調査は2004年の11月から2005年1月にかけてインタビューや電話問い合わせの形で、22953のサンプルを採取し、各国のサンプル調査の誤差はそれぞれわずか2%-4%というものであった。
先般、BBC Worldとユニバーサル輿論調査会社の責任者はこのアンケート調査の三つの内容を明らかにした。
一、 中国は世界にどんな影響を与えているか
この22ヵ国の中で、18ヵ国の人々は「中国の影響」について積極的な見方を持っていた。トータルとしては、「中国は世界にプラスの影響を与えている」と答えた人は総数の48%、「中国の影響はマイナスである」と答えた人は総数の30%を占めた。「中国のイメージ」を最も積極的なものととらえていたのはレバノンであり、74%のレバノン人は「中国はプラスの影響を与えている」と答え、反対の答えの人はわずか9%であった。
「中国のイメージ」が最も消極であったのは日本であった。アンケートに応じた日本人の22%は「中国が世界にプラスの影響を与えている」と答え、反対の答えをした日本人の比率も高くなく、わずか25%であった。大部分の人たちは意見を発表しなかった。日本以外に、アメリカ、ドイツとポーランドでは、積極的な「中国イメージ」を抱いている人は反対の答えをした人より多く、消極的な姿勢の人の比率が50%を超えた国はどこにも存在しない。
二、 中国の経済がさらに成長することを願っているか。
調査の結果によると、49%の人は「はい」と答えたが、33%の人は反対の意見であった。この質問について、インドは最も積極的な見方を持っていた。68%のインド人は中国の経済成長を好ましく見ていた。レバノン、インドネシアと南アフリカがそれに次いでいる。先進国の中で、フランス、イギリス、カナダとオーストラリアは比率の上位にある。アメリカのインタビューを受けた人の中で、46%の人は肯定的な答えをしたが、反対の意見であった人が45%を占めた。
三、 中国の軍事力がさらに伸びることを願っているか。
それについて最も積極的な意見を持っていた国はやはりインドである。56%のインドの人たちは「中国の軍事力の伸びは世界にプラスの影響を与える」と答えた。中国の軍事力の伸びについて最も消極的な態度であった国は日本である。わずか3%の日本人がそれについて積極的な姿勢を示したのに対し、78%の日本人は消極的な姿勢を示した。トータルには、中国の軍事力について積極的な態度と消極的な態度であった人はそれぞれ総数の24%と59%を占めた。
■中国を知ってもらうために客観的なデータを提供
このアンケート調査のそもそもの目的について、BBC Worldの執行副編集長のロスアンドラー氏は「このほど、BBC Worldは海外の視聴者からフィード・バックされた大量の情報を収集したが、各国の人たちはますます中国を注目するようになっていることが明らかになった。したがって、BBC Worldは『チャイナ ウィーク』という関連の取材・報道を行い、人々を『トータルに、系統的に中国の各方面を知るようにする』ことを目指した。これと歩調を合わせるため、BBCはユニバーサル輿論調査会社に委託して、この大がかりな調査を行い、『よりいっそう客観的なデータ』を手に入れたい」と語った。
ユニバーサル輿論調査会社CEOのミラー氏のアシスタント、アンケート調査計画グループのメンバーであるクリス・コーディル氏は「弊社はアメリカとロシアを対象としてこれに類した調査を行ったことがある。今度の調査の結果によると、国際社会における『中国のイメージ』は米露を上回るものとなった。『米露両国のイメージ』を対象として行われたアンケート調査の結果では、14ヵ国のうち、5ヵ国で多数の人々は『ロシアが国際事務で積極的な役割を果たしている』と答えたが、トータルに、『ロシアのイメージ』は良好と見ている人、よくない『ロシアイメージ』を持っている人はそれぞれ総数の36%と40%を占めた。アメリカの場合は、15ヵ国のうち、わずか6ヵ国において数多くの人たちが『アメリカは国際事務で積極的な役割を果たしている』という言い方に賛成の意を示した。アメリカを積極的に評価する人が総数の38%を占めたのに対し、消極的に評価する人は47%にも達した」と語った。
■多数の人は「中国が経済の高度成長を保つ」ことを願っている
中国の影響力が世界の数多くの国で積極的な要素と見られた原因について、「もちろん、中国が世界で尊重されるようになったのは、中国が目覚しい経済発展を遂げたからだ。世界的範囲で数多くの人たちは中国が経済の高度成長を保つことを願っているだろう」とコーディルー氏はミラー氏の考え方を引用して語った。
コーディルー氏は「調査グループの意見としては、歴史的な原因によって、中国周辺の国々は中国に対して強い警戒心を持っているわけであるが、日本以外の中国周辺の諸国の人々は、中国に対してより積極的な見方を持っている。例えば、フィリピン、インドネシアとインドはレバノンに次いで、中国に対してより積極的な見方を持っている人の数が最も多い国となった。韓国とロシアにも、好ましい「中国イメージ」を持っている人が反対の考え方を持つ人よりさらに多かった。調査グループにとって、不思議なのは、産業・輸出構造が中国に類似し、中国との経済面での競争関係が顕在化している発展途上国(ブラジル、チリなど)、ひいては繊維製品の問題で中国と激しい競争を展開しているメキシコでも、一般の人たちが中国の経済発展に積極的な態度を持っていることである。
高度成長をとげている中国は他の発展途上国との間にある程度の競争関係を保っているのに、発展途上国は新興の投資・消費大国となった中国のもたらす積極的な影響をより重視することとなっている。このほど国連が公表したレポートによると、中国経済の高度成長が東南アジアの外資導入にマイナスの影響をもたらさないことは明らかであり、逆に、東南アジアへの外資の移動が当面加速し出しており、これは中国が発展途上国にとって脅威ではなくチャンスとなったことが明らかである。先般、マレーシアの副首相は「競争が激しいが、中国はマレーシアの経済発展に貢献している。その例として、マレーシアのビーチには毎日に数えきれないほどの中国からの観光客でにぎわっていることだ」と語った。
先進国の中で、中国経済の高度成長に積極的な態度を持っている人が最も多い国はオーストラリアであり、総数の56%を占めている。フランス、カナダ、イギリスとイタリアがそれに次いでいる。
このアンケート調査の結果によると、「中国イメージ」の地域的な差は存在する。アジア・アフリカ・南アメリカの諸国は中国経済の高度成長についてもっと積極的な態度を持っている。オーストラリアは中国経済の高度成長のウインナーであるので、支持の態度を持っている。ヨーロッパで「中国に対するイメージ」はいささか複雑である。北アメリカにも、カナダとアメリカの間に、「中国イメージ」がはっきりと異なっている。アラビア諸国で圧倒的な多数の人は中国発展を支持することは目立っている。
アンケートの対象となった人たちの年齢層から見ると、若者たちは中国の発展に積極的な態度を持っている。18-29歳の若者のうち、58%の人がそれについて積極的な態度を持っており、60歳以上の年配者のうち、同じ意見を持っている人はわずか43%であった。アンケートを受けた人たちの教育レベルから見れば、教育レベルが高ければ高いほど、中国の経済成長に対する態度がより積極的なものとなっている。教育レベルの低い人たちの中国の発展に対する態度は消極的なものとなっている。
■中国の「ソフトパワー」が世界に与える影響がより強い
中国が強大になればどういう方向に向うのか。同調査にはこういう懸念も示されている。多数の国はさらに強くなるであろう中国軍事力の伸びについて消極的な態度を示した。「今日の世界では、軍事的手段で国際問題を解決する方法は支持されておらず、多数の人は中国が軍事力の拡張を通して成功を収めることを望んでいない。逆に、中国は『ソフトパワー』(経済、文化、外交などの力)で国際社会における影響力を広げることを願っている」とコーディルー氏は語っている。
「近年、国際輿論で中国を巡っての議論が相次いでおり、中国が国際社会の構造への影響がきわめて深遠なものであることをはっきりと示している。外国機構が「中国の世界への影響」についてすすんで行ったこのアンケート調査から中国の強い影響力を見て取ることができる。現実の国際環境で、国の総合実力は国際輿論を左右するキーとなっている。ここ十数年、中国経済の高度成長、積極的かつ穏健的な外交政策は良好な『中国イメージ』の確立のために確固たる基礎を打ち固めた。今後、中国に対する輿論環境はもっと客観的なものとなるだろう。同調査は国際社会の中国に対する見方の参考としかならないが、中国が『平和・発展』の道を歩むことを堅持するうえで、国際輿論の方向づけとなるものであろう」と世界的に著名なメディアと専門家は語っている。
「チャイナネット」 2005/03/31