台湾のメディアは、大陸部からの観光客受け入れに対する制限を取り消すことになれば、大陸部からの観光客の数は10倍も増え、年間36万人に達し、台湾の観光市場にとって重要な観光客の源としている。潜在力の大きなこの市場を目の前にし、台湾の観光業者たちは「われわれは大陸部に向けての台湾の『開放』を早くから心待ちしている。台湾の観光業はすべての準備ができており、既存の条件や受け入れ能力を利用すれば、台湾は年間大陸部からの観光客延べ100万人を迎えることができる」と語っている。
台湾の観光業者たちは「大陸部からの観光客に対する必要のない制限と監視を撤廃し、『観光を政治化させ、政治的な要素が観光産業にマイナスの影響にもたらす』ことを避けるよう」当局に求めることになった。
台湾東南観光会社の林健興社長は「台湾当局の規定によると、大陸部以外の地点から台湾を訪問し、観光する大陸部の人たちの数は毎日1000人以内ということであるが、2004年初から現在までのところ、台湾に入った人の数は3万人未満であり、年間36万人の上限よりまだかなりの余裕があるので、大陸部の観光市場には巨大なポテンシャルがある」と語った。
大陸部の観光客を受け入れている安順観光会社の林維揚理事長は「当面、台湾の観光客は主に日本、香港、澳門(マカオ)および東南アジア諸国の観光団であり、観光地は台北、高雄などの都市に集中しているので、台湾の観光市場は不況に陥っている。一方、大陸部の観光客はこれと少し違って、台北や高雄より、阿里山や日月潭などの観光名所に詳しいので、大部分の観光客は台湾島を周遊して、すべての名所をめぐることを願っている。それは台湾の諸地方の観光産業にも重要な影響を及ぼすことになろう」と語った。
関係筋によると、台湾の観光業は、大陸部からの観光団の保証金、関連サービスのトレーニング、大陸部の観光客の受け入れ方式を含むさまざまな準備を整えており、当面、阿里山や日月潭など大陸部の観光客の間で人気のある観光名所に近いところの商店はショッピングで人民幣を受け入れることになっている。近年、台湾での人民幣の流通はよりいっそう普遍的なものになり、台湾のビジネスは大陸部の観光客に楽しい旅をしてもらうため、人民幣の両替サービスもおこなうことになっている。
「当面、大陸部向けの観光業が直面する最大の問題は台湾当局は平常心で観光業に対処できるかどうかということであろう。つまり、観光客の遊ぶ権利と自由を尊重し、観光業を政治化してはならないということである。その例として、台湾当局の規定によると、大陸部の観光客は軍事機構やサイエンスパークを見学することができず、また、大陸観光団の中ではわずか20%の人が自由行動ができ、自由時間はわずか2割しかない。しかし、自由行動の中で、何をしていたのか、誰と会ったのか、そのすべてを台湾の警政署に申告しなければならないのである。そのため、大陸部の観光客はスケジュール以外に、友達と会ったりコンピューターの展示を見学することすら認められないわけである。このような監視と制限は人権に干渉することであるとも言え、大部の観光客はいい気持ちはしないだろう。また、観光スケジュールづくりも面倒なものである。そのため、台湾当局は平常心で大陸部の観光客に対処し、観光客を政治犯と見なさないよう願っている」と、観光業者の一人は語っている。
「チャイナネット」 2005年6月1日