今年は中国人民抗日戦争と、世界反ファシスト戦争勝利から60年の節目にあたり、中国と世界各国の人民は、さまざまなやり方でこれを記念している。この大戦は人類史上で最大規模で、最も多い犠牲を出し、最もひどい破壊行為が行われた。今回の大戦は、正義と邪悪の力比べであり、光明と暗黒の対決だった。平和を愛するアジア諸国の人民と世界の進歩的な勢力とが、長期間にわたる血なまぐさい奮闘を経験した。そして軍国主義とファシスト勢力を打ち負かし、人類の歴史と発展の新しいページを開いた。
人類の将来と命運を決めるこの決戦で、中国とアジア各国の人民は莫大な貢献を果たし、また犠牲を払った。日本の軍国主義が中国で「九・一八事変」(柳条湖事件)を起こした1931年から、日本が無条件降伏を宣言した1945年まで、中国人民は、外からの侵略に対する抵抗の闘争を14年間にもわたって続け、世界反ファシスト戦争の重要な構成要素として東方の主戦場となった。
抗日戦争の勝利は、人類史上の重要な転換点だ。地球的な規模でみても、世界全体を奴隷にしようと愚かしく企んだファシスト勢力を粉砕し、人類の平和と進歩を推進した。アジアに目を転じると、日本が明治維新以来100年近く続けてきた対外侵略・拡張路線に終止符を打ち、アジアの戦後発展という新時代の扉を開いた。日本の動きからみると、ポツダム宣言の受諾と極東軍事裁判、サンフランシスコ平和条約への署名により、平和と発展の道を歩みだした。中日関係からみると、日本政府は1972年の「中日共同声明」の中で、過去の戦争で中国人民に与えた重大な被害の責任を痛感し、深刻な反省を述べる、と表明している。これによって中日関係の不正常な状態が終結し、国交正常化が実現した。
こうした歴史事実が説明する通り、抗日戦争勝利の歴史的な意義を充分に認識し、過去の歴史に正しく向き合うことは、戦後の国際秩序の基盤であり、アジア和平の基礎であり、日本が国際社会に復帰する土台であり、また中日関係が健全で安定的に発展する基盤でもある。
このところ、日本政府は当時の植民地支配と侵略について反省とおわびを重ねて表明し、正確に歴史を認識し、アジア各国と相互信頼を築きたいとしている。ただし警戒すべきなのは、今日にいたるまで、日本国内には、侵略を否定し、美化する勢力が依然として存在することだ。これらの勢力は基本的な歴史事実や国際的な共通認識を無視し、「侵略には意義があった」「極東軍事裁判は無効」「戦犯は無罪」と吹聴している。靖国神社に代表される歴史問題は依然として突出しており、日本とアジア隣国の関係の正常な発展を妨げている。
戦後60年は、日本人を含む世界各国の人々に、過去を振り返り、未来について思考する重要な機会を提供した。歴史の悲劇の再演を防ぎ、地域の平和を守り、アジアの未来を共に築くために、われわれは経験や教訓を総括するという方向から、軍国主義を生んだ思想的な根源や社会基盤、国際的な背景について踏み込んで分析すべきだ。そして、当時の日本が対外侵略と拡張路線を歩いたことによる深い教訓を、全面的に総括すべきだ。事実を並べ、道理を解き、侵略戦争の責任を明確にすることによって、国際社会の共通認識を強化し、侵略を正当化しようとする言論や行動を止めなければならない。
人類の平和を守るという観点から、われわれは中国とアジア各国の人民が世界反ファシスト戦争で果たした巨大な貢献を、十分に認める必要がある。時間の推移と歴史の軌跡をたどると、外からの侵略に反撃して主権と独立を守るこの戦争は、アジアで始まり、アジアで終わった。アジアの視点から、改めてアジアの戦場が世界反ファシスト戦争に占めた重要な位置と、中国を含めたアジア各国が発揮した重要な役割を認識すれば、われわれが歴史的な経験を全面的に総括し、アジアが世界平和に対して持つ責任をより明確に認識する一助となる。
われわれはまた、平和と発展の道を進むという観点から、日本とアジア各国で戦前と戦後に起きた巨大な変化を真剣に対比し、平和的な発展が日本とアジアに持つ重要な意義をさらに認識する必要がある。これを土台に、アジア各国は共に手を携えて平和と安定を維持し、お互いの協力関係を深め、共同発展を推進しなければならない。
「人民網日本語版」2005年8月19日