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論評:靖国参拝に見る誤った歴史観(2)

事実、祖霊祭祀の看板を掲げる靖国神社は、歴史を歪曲した教科書と同様、早くから日本の一部の政府要人および右翼勢力の誤った歴史観の象徴と見なされてきた。靖国参拝をめぐる争いは、本質的には、正しい歴史観と誤った歴史観の力比べなのだ。一部の日本政府要人が国内外の強い反対を顧みず、靖国神社を再三参拝していることは、誤った歴史観の頑迷な堅持と、日本軍国主義の「栄光の功績」への追憶を表している。靖国参拝を「個人の心の問題」と称し、さらには「日本の伝統文化」のラベルを貼るなどということは明らかに通用せず、かつて日本軍国主義に侵略されたアジアの人々の理解と同意を得ることは絶対にない。(文:人民日報 国紀平)

歴史的・社会的背景が異なるため、世界の各国・各民族はそれぞれの特色ある民族文化・伝統を形成している。かつての日本軍国主義による被害国である中国の政府と人民は、これまで日本の人々が身内の戦没者をその伝統に則って弔うことに反対したことはないし、靖国神社におもむいてその親友を弔うことに異議を唱えたこともない。だが中国人民は、国家の政治を代表する日本政府の指導者が、A級戦犯を祭り軍国主義のお先棒を担ぐ靖国神社に参拝することを受け入れることはできない。事実、靖国問題の根本は「日本の伝統文化」うんぬんではない。

第1に、A級戦犯はいずれも第2次世界大戦において累々たる罪悪を犯した殺りく者だ。彼らを公然と「英雄」として拝み、軍国主義者が発動した侵略戦争を「偉業」として賛美するなど、おそらく日本人の多くですら、自分の民族の伝統文化にそのような面があるとは認めないだろう。

第2に、日本は第2次世界大戦の終結後、1978年にA級戦犯の合祀を実現した。「合祀事業」を強く推進した青木一男氏(東条内閣の大東亜相)は当時、「合祀を行わないことは、東京裁判の結果を受け入れたに等しい」と赤裸々に告白している。このことから、戦犯を神社に「招く」「合祀事業」は完全に、戦争責任を否定する誤った歴史観の主導下で一斉に行われた特定の行為であり、決して日本の伝統文化などではないことが分かる。

中国、韓国など侵略戦争にさらされたアジア諸国の人々や国際社会が日本の指導者による靖国参拝に反対するのは、単なる心理的反感の表出というよりも、歴史への責任を貫く厳粛な態度の表明なのである。根本的に言えば、われわれが反対しているのは軍国主義および軍国主義への尊崇と追憶だ。日本が誤った歴史観を放棄し、歴史の事実を尊重するとともに、歴史から教訓を汲み取り、再び覆轍を踏まないようにし、歴史の悲劇の再演を防ぐことを望む。

中日関係に対する靖国神社問題の敏感さと重要性は、小泉氏を含む歴代の日本の首脳はみな政治家としてよく理解している。これまでの首脳は賢明かつ慎重に対処してきた。ただ小泉首相だけが中日友好の大局を顧みず、毎年参拝を繰り返し、その上「わたしの靖国参拝の意義は2、30年後に初めて明らかになる」などと公言している。このことは、小泉首相も内心では決して参拝の堅持を単なる「個人の心の問題」といった小さな事とは見ておらず、深い政治的考えがあることを物語っている。小泉首相がその「強硬」と「執着」と引き換えに、日本に対する誤った歴史観を中国や韓国などアジア諸国に受容させ、同意させようと企んでいるとの分析があるのも無理のないことだ。

中国はかねて中日関係を重視し、誠心誠意両国関係の発展を促してきたが、根本的な是非に関わる原則問題においては、われわれは譲歩することはない。自己の意見に固執して尊大な民族主義者、軍国主義復活の唱道者であり続けるのなら、その結末は1つしかない。すなわち、日本は中日友好の正常な軌道からどんどん遠ざかり、日本は最終的に「アジアと世界の孤児」に成り果てるのだ。中日両国の国民は、こうした事態を見たくはない。

「人民網日本語版」2006年8月16日

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