中国の人民法院の組織体系は4等級に分けられており、即ち末端、中級、高級および最高人民法院であり、同時に軍事、鉄道、水運など専門人民法院が設けられている。中国の末端人民法院には県人民法院、市人民法院、自治県人民法院、市管轄区の人民法院が含まれている。中級人民法院には、省、自治区内の地区に基づいて設置された中級人民法院、直轄市に設置された中級人民法院、省・自治区管轄市に設置された中級人民法院、自治州人民法院が含まれている。高級人民法院には省の高級人民法院、自治区の高級人民法院および直轄市の高級人民法院が含まれている。
特別人民法院
特別人民法院は中国の統一した裁判体系である人民法院体系の構成部分の一つであり、それは地方各クラス人民法院とともに国の裁判権を行使するものである。
特別人民法院と地方法院の違いは主に次の通り。
(1)特別人民法院は特定の組織あるいは特定の範囲に基づいて設置された裁判機関であるが、地方人民法院は行政区画に基づいて設置された裁判機関である。
(2)特別人民法院が管轄する訴訟事件は専門の性格を持つものである、即ち特別人民法院が審理した訴訟事件の性格は地方人民法院と異なり、訴訟事件の受理範囲は特定の制約を受けるものである。
(3)特別人民法院の設置と要員の任免は地方人民法院と異なる。例えば、軍事法院院長は人民代表大会の選挙によって選出されるのではなく、最高人民法院と中央軍事委員会によって任命されるのである。
特別人民法院には軍事法院、海事法院、鉄道運輸法院、森林法院、農業開墾法院、石油法院が含まれている。
軍事法院
軍事法院は軍隊の体制と戦闘任務の特殊性に基づいて設置されたものである。その具体的な任務は、国と国防力に危害を及ぼす犯罪者に対し裁判を行うことを通じて、国の安全を守り、国の法体制と軍隊の秩序を守り、部隊の戦闘力を強固にし、軍人とその他の公民の合法的権利を守ることである。敵に打撃を与え、犯罪を処罰し、人民を保護し、社会主義の法体制を宣伝するのが軍事法院の基本的職能である。
軍事法院は、中国人民解放軍軍事法院、各大軍区、軍・兵種軍事法院、兵団と軍クラスの軍事法院の3つの等級に分けられている。
軍事法院には院長1人、副院長1人が置かれており、二つの裁判の法廷にはそれぞれ裁判長1人、副裁判長1人ずつ、裁判官、書記官数人が置かれている。大軍区、軍・兵種軍事法院および兵団・軍クラスの法院にはいずれも院長1人、裁判官、書記官数人が置かれている。
各クラスの軍事法院にはいずれも裁判委員会が設置されている。その任務は重大かつ複雑な事件およびそのほかの裁判に関する問題を検討し、討論することである。裁判委員会の会議は院長が主宰し、同じクラスの軍事検察院検察長も会議に列席することができる。
軍事法院の管轄範囲は特定の刑事事件の受理に限られるもので、即ち現役軍人の刑事事件、軍隊の正規従業員の刑事事件、最高人民法院が権限を授けて裁判を行う刑事事件である。
海事法院
海事法院は一審海事事件と海商事件の裁判を管轄し、刑事事件とその他の民事事件は受理しない。各海事法院が判決、裁定を下した上訟事件は所在地の高級人民法院が受理する。
海事法院の下には海事裁判の法廷、海商裁判の法廷、研究室、執務機構が設けられている。海事法院には院長1人、副院長、裁判長、副裁判長、裁判官数人が置かれている。海事法院院長は所在地の市人民代表大会常務委員会の主任が当該人民代表大会常務委員会に提出して任免してもらう。副院長、裁判長、副裁判長、裁判官および裁判委員会委員は、海事法院院長が所在地の市人民代表大会常務委員会に提出して任免してもらう。
鉄道運輸法院
鉄道運輸法院は、鉄道管理局中級鉄道運輸法院および鉄道管理支局末端鉄道運輸法院の二つのクラスに分けられている。中級鉄道運輸法院の裁判は所在地の高級人民法院の監督を受ける。
鉄道運輸法院院長は所在地の人民代表大会常務委員会の主任が当該人民代表大会常務委員会に提出して任免してもらう。副院長、裁判長、副裁判長、裁判官は院長が所在地の人民代表大会常務委員会に提出して任免してもらう。
鉄道法院には刑事法廷、経済法廷および民事法廷が設けられている。その管轄範囲は、鉄道運輸沿線で発生した民事事件と刑事事件、鉄道局の正規の従業員の民事事件と刑事事件、鉄道運輸部門と直接の関係がある経済紛争事件である。
森林法院
森林法院の任務は森林を保護し、森林資源破壊事件、ゆゆしい業務上の過失による事故の事件および渉外事件を審理する。
末端森林法院は一般には、特定の森林区にある林業局(木材水運局を含む)の所在地に設けられる。地区(盟)の林業管理局の所在地あるいは広大な面積をカバーする国有森林が集中している地区には森林中級法院が設けられている。
「チャイナネット」2003/07/17
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