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悲劇を鑑に 歴史を書物に(評論)

5月9日は世界反ファシスト戦争勝利60周年記念日である。50カ国以上の首脳と国際組織の代表がモスクワに集まり、この重要な意義を持つ日を記念した。同時に欧州各国もさまざまな記念行事を催した。

第二次世界大戦は人類史上で最も悲惨な悲劇だった。中国では3000万人以上が戦乱で死んだ。旧ソ連では2600万人あまりが硝煙の中で命を落とした。ユダヤ人600万人が虐殺された。このように一度の戦争において、正義と罪悪、善良と邪悪、理性と狂気が等しく十分に繰り広げられ、後世の人が長く思索することとなった。

戦争の悲劇は鑑であり、歴史の教科書でもある。後世の人はその時々にその鑑に照らし、その書物を読む必要がある。

欧州において、戦争への反省は文明、文化、人間性への深い思索と関係がある。欧州の戦争に対する反省とファシズムの分析と批判は60年間にわたって一貫して進められ、かつ次第に深まり、西洋文明の核心的価値観のある種の欠点を一貫して見つめてきた。

だが日本では、戦争への反省がその深さや広がりにおいてドイツと比べるべくもなく、そのため歴史に正しく誠実に直面できない問題がこれまで数多く起きてきた。日本は今なおまだ被害を受けたアジア近隣諸国の完全な許しを得ていない。

戦争は世界の悲劇である。ある面では、精神的害毒を受けた人々がいかに残忍、偏執、狂気、原理的になるのかを示す。またある面では、過酷な環境の下で人類がいかに勇敢に正義、善良、理性をしっかり守るかを示す。

戦争への反省、歴史への姿勢について、一つの名言がある。「寛大な心で許そう。しかし忘れない」。ある面では、国、民族、さらに個人の関係史において、恩讐にかかわることが多くあっても、もし寛大な許しの心がなければ、あるいは互い恨みを責め続けていたら、いつ終わるとも分からない。またある面では、歴史の事実と是非が明らかにされず、もし歴史の教訓を銘記しないのならば、もし戦争犯罪人を法で処罰しないならば、被害者の心が穏やかにならないばかりか、加害者は再起を図るかもしれず、悲劇が繰り返される恐れがある。

人々が60年前の戦争終結を記念するのは、平和を必ず大切にしなければならないとの気持ちを表している。だが、今日の世界には戦争がまだある。さまざまな事実が説明するのは、60年前の戦争はわれわれから遠ざかってはおらず、戦争と悲劇を招く文化的遺伝子と利益的胎動は依然として存在することである。善良な人々は警戒しなければならない。

「人民網日本語版」2005年5月10日

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