抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利60周年にあたり、中国の芸術団体は次々と行動を始め、一連の文芸公演を予定しており、芸術の形を使って歴史を再現し、あらためて考えようとしている。抗日戦争と第二次世界大戦を題材にした舞台公演が、北京では5月から9月まで30演目以上が上演される。
文化部芸術司の担当者によると、今のところ上演が基本的に決まっている舞台作品は4つの特徴があるという。
(1)様式が多様であること。話劇、京劇、評劇(河北省の伝統劇)、豫劇(河南省の伝統劇)、歌舞劇、児童劇、ミュージカルなど。ほぼあらゆる舞台芸術の種類に及んでいる。
(2)芸術性が豊かで、多くの作品が繰り返し磨き上げられており、芸術の質が高い。
(3)作品は10数カ所の省・直轄市・自治区から来る。
(4)英雄的人物と重大な歴史的事件が作品の中に反映される。楊靖宇、趙一曼など民族的英雄がいずれも舞台に登場する。
注目されるのは、今回上演される2つの作品が「南京大虐殺」を題材としていることだ。
南京民族楽団の「平和頌」は「南京大虐殺」を表現した最初の大型民族交響楽で、著名な作曲家である趙季平さんが3年をかけて創作した。趙さんは「こうした作品を完成させることは芸術家にとって道義的に断れない責任である」と話している。
中国歌劇舞劇院の創作した舞踊劇「南京1937」は女性3人の視点で当時の悲惨な事件を振り返る。演出家のトウ睿睿さんは「南京大虐殺は当時4億人の同胞が痛切な思いを抱き、永遠に忘れてはいけない国恥だ。外国の人々がアウシュビッツ収容所を話題にする時、映画『シンドラーのリスト』『戦場のピアニスト』を思い出す。私は中国の青年として『南京大虐殺』を舞台で上演する責任があると感じる」と話している。この作品は1年ほどかけて作られ、7月に北京大学で試験的に上演され、9月に北京・保利劇院で上演される。
今回の公演で、国家話劇院は5つの舞台で参加する。同院の趙有亮院長は「60年が過ぎ、当時勝利を祝った鮮やかな記憶は薄らいだかもしれない。しかし世界の東と西でファシズムが人類に犯した罪は、アウシュビッツ収容所も、南京大虐殺も、こうしたあらゆるおぞましい恐怖は依然として人類の良心を苦しめている。今の世界は決して平和ではなく、侵略やテロリズム、虐殺は依然として横行している。これは第二次世界大戦をより深く考えさせる現実的意義がある。全世界のあらゆる善良な人々は共通の課題に直面している。それは、われわれは21世紀の平和と発展をどうしたら勝ち取れるかという課題だ」と語る。
「人民網日本語版」2005年5月12日