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伝説の京劇スター描いた中国映画 『花の生涯─梅蘭芳』に日本人の熱い視線
発信時間: 2009-08-03 | チャイナネット

日本の歌舞伎と通じるもの

友人同士で見に来た東京都品川区の山澤さんにも聞いた。「もうすっかり楽しませていただきました。こういう芸術は残すべきと話していたんです」と言えば、埼玉県所沢市の高橋さんも「そう、日本の歌舞伎と通じるものがあり、とても良かった」と満足そう。

すべての人の感想は聞けなかったが、元々の京劇ファン、歌舞伎ファン、そしてレオン・ライが好きという三つのファン層がメーンのように感じた。もちろん中国映画やチェン・カイコー監督のファンもいただろう。

青年時代演じた俳優へ賛辞

評価の内容も大まかに分けて三つに分類されるかもしれない。その一つ、梅蘭芳の青年時代を演じた余少群への賛辞が目立った。彼は中国・杭州地方の伝統劇である越劇の役者さん。元々は男性役だが、映画では美貌と演技力を買われ初めての女形を見事にこなした。1月下旬に監督と来日した際の記者会見場。舞台用の衣装を身にまとい京劇の代表的演目の一つ『貴妃酔酒』を縦2メートル、横3メートルという狭い演台上で披露したが、艶のある舞、表情に加え、宇宙の広がりまで感じさせる技術には驚かされた。思わず「好!」という掛け声をかけたくなったのをぐっと我慢したほどである。

その他の評価では歌舞伎と京劇という日中伝統芸能の共通点や違いをあげたり、『覇王別姫』と比較する声も多かった。

 早くから日本に伝わった京劇

友人同士で見に来た山澤さんと高橋さん(新宿ピカデリー)


チェン・カイコー監督は映画化にあたって膨大な資料を読み込んで脚本作りに生かしたという。その中には梅蘭芳の詳細なデータが記述されている故・波多野乾一の著書も含まれていた。  梅蘭芳の来日は1919年、24年、56年の3度にわたり、外国公演の中でも目立って多い。また映画にも出てくるが、日本軍の中にも熱烈なファンがいて、尊敬する芸術家の政治的利用に悩む人もいたことだろう。京劇が早くから日本に浸透していた事情がうかがえる。

2月下旬に来日した主演のレオン・ライは筆者のインタビューにこう答えている。

「『レッドクリフ』のようにすべての中国映画が日本で400万人を動員することにはたぶんならないと思います。やはり見る側の好みもありますし、目的も方向も違います。人々がウインドーショッピングするような形で、お店はお店で見せますが、見る人の楽しみ方もそれぞれですね。それでいいと思います」

紀平重茂(きひら・しげなり) 1974年毎日新聞入社。東京本社社会部記者、生活家庭部編集委員などを経て、現在はテレビガイド「とっちゃお」編集長。そのかたわら中国の大陸や香港、台湾、そして韓国に出かけ、アジア映画の動向をウォッチし、コラム「銀幕閑話」をウェブサイト毎日jpで連載中。



 

 

「人民中国インターネット版」より2009年8月3日

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