安倍氏が自民党総裁に再選し、日本の歴史上、任期が最長の首相になる可能性が見えてきました。これは日本の政界と社会の深い変化を反映しており、今後の日本の政治日程や対外関係に深い影響を及ぼすことになります。
日本式のポピュリズムを巧みに利用できることが、安倍氏の長期政権運営の重要な理由です。小泉政権時代の「小泉劇場」など、日本にもポピュリズムが存在します。第二次安倍内閣発足後、安倍氏は小泉氏よりも国民に迎合しており、「芝居」に長けています。日本には過度な政府債務、少子高齢化などの深刻な問題が存在しますが、これらの問題を解消しようとすれば多くの人の利益に影響を及ぼします。政権運営を最重視する安倍政権にとって、実質的な問題に出来る限り触れないようにし、解決と成功が容易な議題に取り組むことで国民の注意をそらし、リーダーシップを発揮するのが最良の方法です。世界経済が全体的に好転するなか、アベノミクスは日本の高い株価と極端に低い失業率を維持しています。日本経済、社会は全体的に安定しています。さらに内閣人事局を設立し官僚の職権を手中に収め、首相官邸の集権を強化し、さらにより厳しくメディアを管理することで、「安倍劇場」の高い人気を維持しています。
中日関係の改善には政治の相互信頼の強化が必要です。中日関係の改善は両国民の支持を受けており、安倍氏の政権運営にとっても有利です。現在は米国の政策の不確実性が強まっており、日本国民の米日同盟への自信が弱まっています。対中関係の改善を含め、外交政策の調整とリスク分散が必然的になっています。かつて安倍氏はスキャンダルの渦中にあり、支持率が低下を続けていました。ところが5月の李克強総理の訪日後も、スキャンダルの影響は長く尾を引いていますが、支持率が下げ止まりしました。日本国民が中日関係の改善に対して、前向きな態度を持っていることが分かります。
安倍氏は憲法改正と2020年東京五輪を今後の政治日程に盛り込んでおり、レガシーを作ろうしていることは明らかです。中日関係の「完全な正常化」の実現も言及されていますが、具体的な手段については不明です。中日は現在、政治の相互信頼の改善をスタートラインとし、新時代の二国間関係を発展させようとしています。相互信頼を強化するには、双方の行為への予測可能性と、問題発生後のスムーズな意思疎通が重要な基礎となります。相手側に自分が何をするのか、何をしないのかを伝えることで、急な措置による相手側へのショックを回避できます。また問題発生後、世論を操作し利用しようとするのではなく、まず相手側と意思疎通する必要があります。この2点を踏まえてはじめて、成熟した政治の相互信頼に至ることができます。安倍氏の過去の対中政策を見ると、この2点が貫徹されていなかったことは明らかです。安倍氏が残りの任期内にこの2点に取り組み、中日関係が長期的かつ健全に、安定的に発展するため基礎を固めることを願います。