中日関係は中国にとって最も重要な二国間関係の一つだ。近年の複雑な国際情勢の中で急速に回復し、持続的な改善という良好な流れを示しており、世界から注目を浴びている。実際に日本は中国がずっと強い関心を寄せてきた重要な隣国であり、中日関係が紆余曲折を経ている時期であっても、中国国内の日本研究機関は100以上、人員は4000人弱が維持されていた。代表的な研究機関は、中国社会科学院日本研究所、南開大学日本研究所、復旦大学日本研究センター、遼寧大学日本研究所などが挙げられる。
その中で私が所属する中国社会科学院日本研究所には、50人以上の研究者及びスタッフがいる。日本研究所は1981年に設立された、中国の日本関連シンクタンクの一員であり、国家ハイレベルシンクタンクの構成機構でもある。同研究所は長年に渡り、日本研究分野で幅広い重要な学術成果を生み出している。その代表的な成果の一つ「日本青書・日本研究報告書」は2000年前後から20年弱に渡り出版されてきている。同青書は日本の年間情勢及び中日関係に焦点を絞り、専門家による優れた知見の集約に努めている。学術・社会・政策という3つのレベルにおいて持続的に影響力を拡大し、存在感を増してきた。
2019年度の青書は7月に発表された。2018年度の日本の各分野の状況を振り返り、特に国際的な情勢変動を背景とする日本の選択と対応に着目した。日本経済・社会の改革と発展、皇室及び自民党の重大動向、「戦後外交の総決算」、広域経済協力構想、安全保障政策、中日関係及び中日米関係などについて議論と分析を進めていた。青書の観点の要旨は下記の通り。
中日関係は2018年に全体的に回復を加速し、持続的に改善する良好な流れを示した。「中日平和友好条約」締結40周年を契機とし、政府レベルの力強い牽引、各分野における協力の深化、危機管理メカニズムの達成など有利な要素が関係改善を力強く促進した。国際的な変動、経済貿易の互恵、日本の戦略調整は、中日関係改善の背景及び理由とされている。日本政府は2018年に「一帯一路」イニシアチブの具体的な協力方法について中国側と協議し始めた。中日の第3国市場協力も、着実な進展を見せている。脱グローバル化に直面する中日両国は、貿易保護主義や経済一国主義への反対、国際自由貿易の維持、地域経済協力の促進といった共通関心事に多くの共通認識を持っている。
2019年に入ると、中日関係のさらなる発展は有利な条件と時期を迎えているが、この流れを長期的に安定化させるためには、まだ多くの難しい課題が残されている。中日双方が共に歩み寄り、積極的に利を求め害を避けることができれば、両国関係は既存の改善や良好な流れの上で、より大きな成果を手にできるだろう。