みなさん、こんにちは。日中産業研究院の松野です。
私は、昨年12月に北京に行ったのが最後で、それ以降は中国との往来が途絶えています。私はSARS問題の時も上海にいました。しかし時代は様変わりしましたね。現在は、中国の友人が送ってくれるSNSで現地の状況もよくわかるし、オンラインで中国の友人との飲み会までできますね。
日本は、感染者が減少に転じたとはいえ、まだまだ予断を許さない状況です。日本でも感染拡大当初は、経済や教育への影響が真剣に議論されましたが、現在では徐々に「アフターコロナ」の経済や社会のあり方についての議論が盛んになってきています。
日本では、社会生活のデジタル化が加速されるでしょう。企業や政府組織のテレワークやオンライン教育の仕組み構築が必須です。この点においては、中国社会の方がずっと進んでいますね。
さてではアフターコロナの日中ビジネスは、どうなるでしょうか?
世界の多くのグローバル製造業は今後、リスク回避と安定性を重視するので、中国から他国への製造拠点移転は一定量進むでしょう。
しかし日本企業の場合は、欧米企業と違って中国や東南アジアにおける国際分業の経験が豊富なため、短期的な動きはないと思います。
日本企業のモノづくりにおいては、中国、ASEANなどとのサプライチェーンが既に最適化されています。日本の貿易統計をもとに日中間の「輸出競合度指数」を計算すると、ここ十年は増加が止まっており、日中間で産業補完が進んでいることがわかります。
当面は、中国内の日本企業の製造拠点には大きな変化は見られないと思います。
また消費分野における日中ビジネスは、どうでしょう。日中両国民が双方の消費文化を取り入れようとする動きはこれからも続くと思いますので、コロナ後も市場はまだ拡大の余地が大きいと思います。
さらに日中両国には、重要なミッションがあります。環境、エネルギー、社会格差などの地球規模の問題の解決において協力し、世界でリーダーシップを発揮することです。
その意味で、コロナ問題発生前に両国で議論が進んでいた「日中両国の第三国協力」については、現在さらに重要度を増しており、我々は早急に着手しなければなりません。
「過去は書き換えられないが、未来は自分で造ることができる」これが私の好きの言葉です。
日本と中国は、地球の未来を担うリーダー国家の一員として、早急に協力の議論を進めていきましょう。
ご静聴ありがとうございます。