新型コロナが世界に蔓延した2020年。世界範囲で貿易・投資の縮小が目立つ中、互いに重要な貿易パートナーである中日両国の経済交流にも、コロナ禍の影響はあったのだろうか。チャイナネットの記者はこのほど、JETRO北京事務所の高島竜祐所長を取材し、その最前線の状況について尋ねた。
高島所長は次のように述べた。
まず中国は世界で唯一、2020年の貿易総額がプラスになった国である。これはやはり中国が早く新型コロナウイルスを抑え込み、その影響を最小限に食い止めたことが大きな原因だと思う。日本と中国の関係について見ると、中国から日本への輸出は約0.4%減少したが、マスクなどの医薬関係のものについては中国から日本への輸出が大幅に伸びた。また、電子機器関係などにも伸びが見られたが、一方で衣類などの繊維品のように減少したものもあり、トータルでは若干のマイナスになった。2020年は前年とほぼ同じ水準だったと言える。一方で、中国の日本からの輸入について見ると、1.8%増加し、新型コロナウイルスの影響があるにも関わらずプラスになった。特に機械部品関係で大きな伸びを示した分野がいくつもあった。やはり中国が新型コロナウイルスの影響から脱し生産を回復させていく過程で、日本から中国への部品や、中間品の輸出が大きく伸びたことが大きいと思う。総じて見ると、新型コロナウイルスがあったにも関わらず、日中間の貿易は非常に健闘したと言えるのではないかと思う。
世界から中国への投資は特に2020年の後半になるにつれて伸び、これも全世界の中でほかに類を見ない好成績を上げたと感じている。日本の中国への投資は他の国と少し異なり、製造業が非常に多いという特徴がもともとあり、統計はまだ出揃っておらず、日本の9月時点の統計だが、製造業はプラスとなっており、さらに10月以降の数字が出れば、2020年トータルで見てもプラスになると思う。
全世界から中国への直接投資を見ると、11月時点の数字で6.3%増と大幅なプラスになっている。日本から中国への投資は、製造業以外が9月までマイナスだったため、トータルでプラスになるかはわからないが、製造業に限っては、中国への投資は堅調に推移したように感じる。