司会:日本の菅義偉首相と米国のバイデン大統領は16日、ホワイトハウスで初めて対面形式で会談しました。米日首脳会談では各自の計算がありましたが、中国が中心的な議題になり、米日同盟による中国へのけん制と抑止力の維持が双方の共通認識になりました。会談の共同声明は中国に関する一連の消極的な内容を発表し、実質的に中国の内政に干渉しました。米日首脳会談及び関連するハイレベルの戦略的な動きは、双方の対中政策がより消極的になっていることを反映しており、中米・中日関係にさらなる衝撃を及ぼします。この問題について、中国社会科学院日本研究所総合戦略研究室副主任の盧昊さんにお話を伺います。
盧昊氏:今回の米日首脳会談は、バイデン氏の大統領就任後の米日ハイレベルによる一連の戦略的コミュニケーションの段階的なピークとなりました。米日の外相と防衛相は先ほど「2プラス2」会談を開催しました。米日はさらに先頭に立ち、米日印豪のテレビ会議形式による首脳会談の開催を促し、インド太平洋戦略をさらに共同推進する姿勢を示しました。トランプ時代の米日同盟は摩擦が目立ち、不確実性が大幅に拡大しました。バイデン氏は就任後、同盟重視とアジア太平洋戦略の調整を宣言し、かつ日本のいわゆる戦略的価値を再び発揮することに期待しています。菅義偉政権はこれにより米日関係の不利な流れを変え、対米ハイレベル協調ルートを再構築し、米国の日本に対する戦略的支持を固めようとしています。同時に訪米により国内における政治的基盤を強化し、支持率低下の流れを覆すことに期待しています。米日の今回の首脳会談は、次の段階の二国間関係の方向性を定めるほか、各自の国内における政治ショーの狙いが非常に顕著でした。
司会:米日各自の対外的な戦略的方針があり、今回のハイレベル戦略的コミュニケーションでは予想通り中国が焦点になりました。これについてどうお考えですか。
盧昊氏:中米の権力の移動が加速し、戦略的な駆け引きが長期化するなか、バイデン政権は全体的に従来の米国の対中戦略的競争路線を維持しています。軍事安全、経済技術、価値観などの戦線で引き続き政策を強化し、各方面と連携し同盟体制を利用し中国側を包囲しています。日本政府は米国の対中競争戦略に巻き込まれるほか、自国の中国に対する戦略的心理も脆弱かつ敏感になりつつあり、各分野で中国から束縛される懸念を深めており、米国及び西側体制に頼り中国けん制を強化する積極性を強めています。菅政権は基本的に対中協調という路線を変えていませんが、実質的な政策は米国側に大きく偏っており、同盟強化、中国けん制に重きを置いています。この時期の日本の対中政策の消極性と破壊性は米国及び一部の西側諸国に及びませんが、以前と比べると高まっていることは議論の余地なき事実です。
今回の米日共同声明には、中国に関する多くの消極的な表現がありました。例えば釣魚島に米日安保条約が適用されることを再確認し、台湾問題についていわゆる「懸念」を示し、「平和的解決」を求めました。1969年のニクソンと佐藤栄作の会談後、米日首脳会談の共同声明に台湾関連の内容が明記されたのは今回が初めてです。声明は、東中国海における現状を変える「一方的な行動」、南中国海における「違法な海洋権益の主張」に反対するとし、中国香港及び新疆事務に横槍を入れ、中傷し非難しました。これらの表現はすでにレッドラインに触れています。米日は、国の主権、安全、発展の利益を断固守る中国側の意志に疑いを差し挟む余地がなく、「一つの中国」の原則を脅かし中国の内政に干渉するすべての挑発行為が失敗に終わることを意識すべきです。
米日は周辺、特にインド太平洋地域で自由で開かれたといった価値観を広めると称しました。ところが皮肉なことに、インド太平洋戦略の共同推進による中国けん制、サプライチェーンの脱中国依存といった政策を含む米日首脳会談のこのような表明は、中長期的に見ると実現性と持続可能性が欠けており、また米日が称する自由で開かれたという積極的な価値をまったく備えておりません。むしろ意図的に緊張、分裂、対抗を引き起こしており、地域の平和的発展の大きな流れに明らかに背いています。
司会:お忙しいところ、ありがとうございました。日本は積極的に米国の中国けん制に従っていますが、これはかつて中日首脳が形成した「共に協力パートナーとなり、共に脅威とならない」という政治的共通認識、及び「競争を協調となす」という精神に完全に背いています。日本側にとっては、冷戦的な対抗の考えを捨て、中国側と改めて手を携え、二国間関係の安定的かつ建設的な発展を推進することこそが自国にとって有利であり、各方面、特に地域発展に資する選択です。
(盧昊・中国社会科学院日本研究所総合戦略研究室副主任、副研究員)